2月10日(木)に「NPOのIT利活用を考えるセミナー」をオンラインで開催しました。
震災から10年が経過しましたが、被災者の生活面での支援は未だ必要な状況です。また、新型コロナウイルスの影響もあり、ITを活用した取り組みが重要となっています。コロナ禍での被災地の現状、必要とされる支援に対し、NPOがITを活用しどのように役割を果たすことができるのか。このような課題意識のもと、セミナーを開催しました。
セミナーでは、冒頭に 華為技術日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン)の郭宇氏が登壇し、「ITがもたらす社会変化」についての講義を行いました。また、富山県黒部市社会福祉協議会の 小柴徳明氏から、ITを活用した高齢者支援についての事例紹介をしていただきました。最後に、「ファーウェイ東日本大震災IT支援プロジェクト」助成3団体から取り組みについての報告がありました。
※本事業は、華為技術日本株式会社の寄付によって運営されました。
1.ITがもたらす社会変化~ITが産業や社会にどのような変化を与えるのか、海外の事例を交えて解説
講師:郭宇(かくたかし)氏
華為技術日本株式会社 パブリック&インダストリーリレーションシップ部部長 / 山形大学大学院工学研究科工学博士
社会のさまざまな課題に対して、5Gをはじめとする新しい技術を活用した事例が紹介されました。港のクレーン車の操作を効率よく、男女問わず行えるようにした事例、医師による遠隔診断の事例、遠隔運転による物資配達の事例など、すでに活用されている技術のほか、子どもの視覚障害の早期発見や聴覚障害の子どもへの読書支援、絶滅危惧種のサルの生活圏の研究などにもITやICTの技術が活用されています。また、自立電動自転車(高齢者の買い物支援、車が入れないような細い場所での活用など)の開発など、IT、ICT技術による課題解決の可能性は広がっていることが示されました。
2.地域におけるITの活用~富山県黒部市での高齢者支援の取り組みを紹介
講師:小柴徳明(こしばのりあき)氏
社会福祉法人黒部市社会福祉協議会 総務課長補佐
7年前から取り組んでいるICTを活用した地域福祉についてお話しいただきました。高齢者参加型の見守りの仕組みのほか、伝統芸能のアーカイブ、自治会の情報共有などにICTを活用した事例が紹介されました。また、高齢者への調査、実験を通して、「助けてと言える社会」から「助けが必要と気づく社会」へ考え方の転換を行ったそうです。さらに、黒部市社協は、ICT活用と両軸で、多様な人たちと一緒にワークショップ型で考えることを大切にしているというお話があり、ICT活用を進める中での気づきなども共有いただきました。
3.NPOにおけるITの活用~宮城県・岩手県のNPO法人3団体の活動内容を紹介
・特定非営利活動法人エイブル・アート・ジャパン
・認定特定非営利活動法人底上げ
・特定非営利活動法人アットマークリアスNPOサポートセンター
3団体から、ファーウェイ・ジャパンの支援で行った活動とその成果、今後に向けての課題が報告されました。成果については、障害者のオンラインによる生涯学習への参加が促進されたこと、オンラインを通じて遠方の若者が集い学び合う場が創出できたこと、講座を通じてNPOのICT課題が把握できたことなどがあげられました。また課題については、臨場感の差、オンラインでのコミュニティ醸成の難しさ、ICTの効用の理解不足などがあげられました。