【報告】2024年度 ともに市民社会をつくる「ともしび」

 ともに市民社会をつくる学びのコミュニティ「ともしび」は、NPOの担い手が継続的につながり学び合う場をつくることで、地域や分野を超えた仲間をつくり、持続・発展的に活動できる基盤の構築を通して、さらなる市民社会づくりを目指す事業です。

 今年度は連続講座「ともしび・NPOスクール」を7~11月にかけて初めて開講しました。市民社会論や組織マネジメント、企業との連携、行政との協働などの多彩なテーマで18講座を開催し、全国から88名が受講メンバーに登録、延べ464名が参加。主にはオンライン形式で、録画された講座を好きな時間や場所で繰り返し視聴できるオンデマンド学習にも対応しました。また、開講式や自治体リーダーを招いた特別講義では対面でも集まり、10月には合宿形式でフィールドワークも行いました。
 そして、年度後半には「ろげる」「なおす」「づける」をテーマにした継続的な交流と学び合いの場「ともしび・ひみつゼミ」を開講。オンラインでゼミ生同士の意見交換を中心に学びを深める方法で、これまで2023年度先行実施を含め32名が参加しました。年度末の3月9~10日には合宿形式で成果報告会を実施し、各地で活動するゼミ生が対面で議論と交流を行いました。この合宿はゼミの集大成として、メンバー同士が日頃抱えている悩みや課題を本音で語り合う、エンパワメントを大切にしたプログラムで構成しています。


ゼミ参加者の声

 自分が運営する組織の活動内容や将来の展望をちょうど真剣に問い直し始めた時期で、このゼミに参加すれば何か良いヒントが得られるのではないかという期待がありました。「このゼミって合宿までやるんだ?」という新鮮な驚きもありました。「具体的なテーマについて経験者から聞けること」、また「ストレートに質問できること」はメリットだと思います。ちょうど同じくらいのキャリアの方が多く、同じ想いや課題を抱えた仲間と、キックオフから合宿に至るまでの長期間つながれたことがとても良かったです。(北海道から参加・30代)


 私が運営しているNPOは特殊なカテゴリーなので、同じ悩みを共有できる仲間はそれほど多くありません。毎日問題意識を抱えながら活動を続けていましたが、このゼミに参加してみて、いろいろなカテゴリーのNPOのメンバーがいて、それぞれの悩みを共有することでとても多くの学びがありました。また、今回改めて「NPOとは何か」を問い直す機会を得て、今後の活動へのモチベーションがかなり高まりました。このゼミは、いろいろな活動をしているメンバーとつながれることが大きなメリットですが、合宿では対面で長時間ともに過ごすことでより「仲間意識」も高まりました。(東京都から参加・60代)


 事業名の「ともしび」には、ともに市民社会(シビル・ソサエティ)をつくる場になってほしいという願いとともに、一人ひとりが社会の「灯」であるという意味も込めています。これは、すでに各地で一人ひとりが灯している地域や社会への「想い」を大切にしたいという考えからです。
 取り組む課題や活動が多様化する一方、限られたメンバーで奮闘するNPOも少なくありません。ご参加いただいた、そしてこれから参加する皆さまとともに、それぞれが持ち寄って大切に育てた「灯」によって、活動の先に居る誰かとの「温もり」につながることを切に願いながら、事業を進めてまいります。
 来年度もともしび・NPOスクール/ゼミを7月から開講予定です。ぜひご参加ならびに引き続きご理解、ご支援・ご協力の程よろしくお願いいたします。


担当者からの一言

 NPOスクールの開講式では「市民社会とケア」をテーマに、一人ひとりの「弱さ」を前提とした活動のあり方を考えました。飛び交う「課題解決」や「成果」などの言葉からは、どこか個人の「強さ」を活動や社会の中に内面化させているような印象を受けますが、小さな活動の積み重ねやつながり合いながら前に進む、その大切さについて1年を通じて再確認をしました。ノウハウだけではなく、その基礎に置く価値観について共有し学び合える場を、今後も皆さんと一緒に育てることができればと考えています。