日本NPOセンターではこの度、「2015年度NPO支援センター実態調査報告書」を公開しました。
この調査は、日本全国のNPO支援センターの実態を把握することにより、今後のNPO支援やNPO支援センターのあり方などを検討するうえでの基礎資料とするために、2007年度から実施していますが、今回の調査は2012年度に続く3回目となります。
今回の調査では、「ⅰ 経年変化の確認が必要な事項」「ⅱ 前回調査でNPO支援センターの課題として最も多く挙げられた、資金・人材・ネットワークについての現状を把握するとともに、課題の解決に向けての糸口を探ること」「ⅲ 前回調査の後に、新たに課題として認識された事項」を中心に調査項目を設定しました。
NPO支援センターの多くが、「資金」「人材」「ネットワーク」を課題としてあげていますが、これは前回調査と同様な傾向を示しています。一方で、地域の実情に合わせた役割を果たすとともに、新たな事業開発に積極的に取り組みながら自主財源の確保を図っているNPO支援センターも見受けられるようになりました。今回の調査では、そうした事例をインタビューという形で収集し、他のNPO支援センターの運営の参考にしていただけるようにしました。
また、NPO支援センターを取り巻く社会情勢が変化する中にあっては、NPO支援センターの役割についても再検討し、再定義する必要性があると考えます。今回の調査報告書がそうした取り組みに向けての一助になれば幸いです。
2015年度NPO支援センター実態調査報告書のダウンロード (PDF)2.81MB
<以下、『2015年度NPO支援センター実態調査報告書』の「2.調査の概要」より>
1. 調査の目的
本調査は、全国のNPO支援センターの実態を把握することにより、今後のNPO支援やNPO支援センターのあり方などを検討するうえでの基礎資料とするとともに、NPO支援センターの役割の再定義等に資することを目的としている。NPO支援センター調査は、2007年度に1回目、2012年度に2回目を実施しており、今回の調査は3回目となる。今回の調査では、次の3点を中心に調査項目を設定した。
ⅰ 経年変化の確認が必要な事項
ⅱ 前回調査でNPO支援センターの課題として最も多く挙げられた「資金」「人材」「ネットワーク」についての現状を把握し、課題の解決に向けての糸口を探ること。
ⅲ 前回調査の後に、新たに課題として認識された事項
2. NPO支援センターの定義
本調査におけるNPO支援センターとは、以下の条件に当てはまる団体・拠点を指す。
(1)NPOの組織支援を主たる目的としている。
(2)常設の拠点がある。
(3)NPOの組織相談に対応できるスタッフが常駐している。
(4)分野を限定せずに支援をしている。
3. NPO支援センターの類型
全国には様々な設置・運営形態のNPO支援センターがあるが、本調査では次の4種類に類型化した。
・行政が設置し、行政が運営 (行-行)
・行政が設置し、行政と民間で運営(行-行・民)
・行政が設置し、民間で運営 (行-民)
・民間で設置し、民間で運営 (民-民)
4. 調査の内容
本調査では、「組織としてのNPO支援センター」、「その組織の運営状況」、「その組織が運営する施設運営事業(ハード事業)」及び「その組織が実施している施設運営以外の事業(ソフト事業)」、「新たな事業開発と役割」などを把握することを目的とし、アンケート調査およびインタビュー調査を実施した。
(1)アンケート調査の主な内容
ⅰ 基本情報について
- 設立者と運営者の関係
- 行政と民間の関係
- 事業種別
ⅱ 組織運営について
- 運営経費
- 行政財源と民間財源の関係
- 種別ごとの財源内訳
- 組織体制(理事、スタッフ)
- 人材育成、人材確保の状況
ⅲ 事業実施状況について
- ハード事業(施設運営状況)
- 利用者が行う活動の定義等
- 指定管理者制度の状況
- ソフト事業(施設運営事業以外の事業)
- 実施事業に対する評価
- 運営上の課題
- 新たな事業開発と役割
(2)インタビュー調査の主な内容
- 運営上の強みとなっている事業
- 他のNPO支援センターの参考となる取り組み
5. 調査方法
(1)調査対象・規模
ⅰ アンケート調査
日本NPOセンターのホームページの「NPO支援センター一覧」に掲載されている334件を対象としてアンケート調査票をeメールで送付し、170件から回答を得た。
ⅱ インタビュー調査
アンケート調査の記述回答で、「運営上の強みとなっている事業」や「他のNPO支援センターの参考となる取り組み」などを行っていることが確認された8団体を対象にインタビューを行った。