助成先一覧 | 選考総評 | 助成概要と選考理由 | 選考結果のご報告(各ページのPDF版)
東日本大震災現地NPO応援基金[特定助成] 「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第3回助成の選考を行い、下記の通り決定いたしました。
■一般公募枠
【日常生活の再建事業】
プロジェクト名/団体名 | 所在地 | 助成額 (単位:万円) |
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高齢化が進む被災地における長期的な心のケア活動 認定特定非営利活動法人 こころの架け橋いわて |
岩手県 大槌町 |
495 | |
岩手県釜石市箱崎半島部の漁業集落復興まちづくり事業 特定非営利活動法人 釜石東部漁協管内復興市民会議 |
岩手県 釜石市 |
391 | |
移動を支え、暮らしを支え、復興を支える地域の多様な担い手育成・連携事業 特定非営利活動法人 移動支援Rera |
宮城県 石巻市 |
488 | |
東日本大震災被災地におけるグリーフケアの実践と普及・啓発活動 特定非営利活動法人 仙台グリーフケア研究会 |
宮城県 仙台市 |
500 | |
福島で安心して暮らせるように、放射能に対して不安を抱く被災者に寄り添う活動 特定非営利活動法人 ふくしま30年プロジェクト |
福島県 福島市 |
299 | |
農業高校における実践的6次化商品開発事業 一般社団法人 Bridge for Fukushima |
福島県 福島市 |
220 | |
福島へそのまち親子の明日も元気プロジェクト 特定非営利活動法人 本宮いどばた会 |
福島県 本宮市 |
206 | |
【地域コミュニティ・文化の再生事業】 |
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プロジェクト名/団体名 | 所在地 | 助成額 (単位:万円) |
|
南三陸コミュニティ再生・活性のための、住民の手による地域連携プロジェクト 特定非営利活動法人 夢未来南三陸 |
宮城県 南三陸町 |
498 | |
カーシェアリングにおけるコミュニティ支援 一般社団法人 日本カーシェアリング協会 |
宮城県 石巻市 |
500 | |
高齢化率が38.3%で、しかも東日本大震災で沿岸部より避難して来られた方が多く住む、鶴ケ谷を元気にする交流事業 つるがや元気会 |
宮城県 仙台市 |
100 |
■信用金庫推薦枠
【日常生活の再建事業】
プロジェクト名/団体名 | 所在地 | 助成額 (単位:万円) |
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---|---|---|---|
子ども元気フィールド 特定非営利活動法人 石巻スポーツ振興サポートセンター |
宮城県 石巻市 |
500 | |
外に出て、元気に過ごそう!!ふくしま!! 社会福祉法人 福島市社会福祉協議会 |
福島県 福島市 |
433 | |
市民交流型の農業再生とブランド野菜の育成事業 特定非営利活動法人 郡山農学校 |
福島県 郡山市 |
500 | |
【地域コミュニティ・文化の再生事業】 | |||
プロジェクト名/団体名 | 所在地 | 助成額 (単位:万円) |
|
Oh!マチ MUSIC FESTA 2016 商店街振興組合法人 釜石市大町商店街振興組合 |
岩手県 釜石市 |
150 | |
漁師ぐらしを次世代に伝える「すなどり先生」プロジェクト 一般社団法人 まるオフィス |
宮城県 気仙沼市 |
479 | |
新渡波西地区「一人一人が主役のまちづくり」支援事業 一般社団法人 石巻じちれん |
宮城県 石巻市 |
500 | |
福島踊屋台伝承事業 特定非営利活動法人 福島踊屋台伝承会 |
福島県 福島市 |
213 | |
小高区の新たなコミュニティ・まちづくりを担う拠点の設置とサロン・イベントの運営 特定非営利活動法人 はらまち交流サポートセンター |
福島県 南相馬市 |
298 | |
浪江町伝統芸能継承事業 浪江町伝統芸能映像記録作成事業実行委員会 |
福島県 二本松市 |
139 | |
地域みんなの「居場所」づくり 特定非営利活動法人 まごころサービス国見センター |
福島県 国見町 |
132 | |
「いわき湯本温泉フラのまち宣言」関連事業 じょうばん街工房21 |
福島県 いわき市 |
150 | |
未来へつなぐ光プロジェクト・サウンドイルミネーション 特定非営利活動法人 いわきイルミネーションプロジェクトチーム |
福島県 いわき市 |
296 |
・助成件数:22件 (一般公募枠:10件、信用金庫推薦枠:12件)
・助成総額:7,487万円(一般公募枠:3,697万円、信用金庫推薦枠:3,790万円)
*第3回助成は、下記の応募について1~3月に選考し助成が決定したもの。
・一般公募枠 :2015年12月16日から2016年1月12日まで
・信用金庫推薦枠:2015年12月9日から2016年1月8日まで
*助成期間は2016年4月1日から2017年3月31日までの1年間。
・特定非営利活動法人石巻スポーツ振興サポートセンターの助成期間は2016年4月1日から10月25日。
選考総評
選考委員長 萩原なつ子
[「しんきんの絆」復興応援プロジェクトの概要]
「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」は、認定特定非営利活動法人日本NPOセンターが2011年3月から行っている「東日本大震災現地NPO応援基金」に対して、信用金庫業界からの寄付を信金中央金庫を通じて受け、「特定助成」として実施する資金助成事業である。テーマは「日常生活の再建」と「地域コミュニティ・文化の再生」の2つから選択する。なお、このプロジェクトは、一般公募枠と信用金庫推薦枠の2つの枠があり、その下にA・BならびにC・Dの4コースから構成されている。信用金庫推薦枠は、東北被災3県(岩手県・宮城県・福島県)の信用金庫からの推薦が必要となる。
[応募状況と選考プロセス]
第3回助成(助成期間2016年4月1日~2017年3月31日)は、一般公募枠については2015年12月より告知を開始し、2015年12月16日~2016年1月12日の応募受付期間に61件の応募があった。
応募テーマ別では「日常生活の再建」と「地域コミュニティ・文化の再生」がほぼ同数、コース別では1/3がAコース、2/3がBコースであった。応募事業の活動地域別内訳では宮城県が最も多く、岩手県、福島県は同数であった。設立時期については、2/3の団体が震災後(2011年3月11日以降)に設立された団体である。また、法人格別に見ると、特定非営利活動法人が最も多く、一般社団法人、任意団体が続いた。
一般公募枠の選考プロセスは、まず事務局にて応募案件の予備審査を行い、選考委員会において選考すべき30件を選出した。その後選考委員がこの30件について書面評価を行い、その結果を基に全員参加の選考委員会の場で審議を行い、助成候補となる13団体を選出した。その後、事務局スタッフが助成候補団体を訪問・電話インタビューし、活動状況や選考委員会から説明を求められた疑問点等について詳細な聞き取りを行った。このインタビュー結果を選考委員長に報告し、委員長が最終的に決裁を行い、助成事業10件を決定した。助成額合計は3,697万円であった。
また、信用金庫推薦枠については、2015年12月より告知を開始し、2015年12月9日~2016年1月8日の応募受付期間に7信用金庫から12件の応募があった。信用金庫推薦枠については、全案件について応募要件・選考基準等に基づいて事務局ならびに信金中央金庫にて慎重に検討を行った。その結果を選考委員長との協議により決裁を得て、助成事業12件を決定し、選考委員会に報告した。助成額合計は3,790万円であった。
一般公募枠と信用金庫推薦枠をあわせての助成は、22件で助成金額は7,487万円となった。
[選考における議論のポイント]
選考においては、「しんきんの絆」復興応援プロジェクトの選考基準*1をベースにして評価ならびに審議が行われた。
*1≪「しんきんの絆」復興応援プロジェクト選考基準≫
◎日常生活の再建
・参加性 : 地域住民の継続的な参加や協力が期待できるか
・連携性 : 地域の他の団体、地縁組織や企業・自治体等と連携しているか
・当事者性 :課題を抱える住民の視点から、事業が構成されているか
・実現性 : 事業が実行可能な体制・予算・実施スケジュール等になっているか
・継続性 : 地域への長期的貢献を視野にいれ、活動が行えるか
◎地域コミュニティ・文化の再生
・新規性 : 被災地の新たな地域課題に対応しているか
・参加性 : 地域住民の継続的な参加や協力が期待できるか
・共助性 : 住民同士が助け合う関係性を築くための取り組みであるか
・独自性 : 現状のコミュニティや文化の維持にとどまらない取り組みであるか
・実現性 : 事業が実行可能な体制・予算・実施スケジュール等になっているか
一般公募については、選考委員が共通して評価した事業は少なく、多くの事業は評価が分かれた。選考委員会において全体として高い評価を得た事業の特徴や、選考過程における議論のポイントは、以下の通りである。
「日常生活の再建」においては、現在の課題が震災とどう関係しているのか、震災により生じた課題に対してどのように取り組み、成果と課題をどのように認識しているのかが問われた。中長期の目標設定、そのための将来展望をどのように見込んでいるかを自分達の言葉で語ることができている事業の評価は高かった。また、地域内外の協力者との連携の有無はもちろん、当事者が事業の主体となっているかどうかが議論された。
「地域コミュニティ・文化の再生」においては、事業の実施によりどのような地域文化を目指しているのかという新規性や独自性が問われた。地域住民の関わり方について具体的なアイデアがあるかどうか、実施事業が地域住民にどのように還元され、どのように変化することを目指したいのかが議論された。
どちらのテーマにおいても、事業が課題にどのように貢献するのかが明確なもの、課題解決への取り組みやアイデアの有無、小さな取り組みであっても具体的な実行プランを持つ事業は評価を得ていた。誰のための活動なのかが見えなくなっている事業や、本来は目標達成のための「手段」であるはずの事業が「目的」となっているものについての評価は低くならざるを得なかった。
震災から5年が経過する中での「日常生活の再建」と「地域コミュニティ・文化の再生」という二つのテーマをはっきりと区分することへの難しさはあるが、何に重きを置いて取り組んでいる事業なのかを、それぞれの団体が考えた結果と考えている。
「しんきんの絆」復興応援プロジェクトが被災地の未来に向けた足がかり、自立に向けた後押しとして、また、復興の手がまだ及んでいない人々や地域を包み、寄り添うものとして、ますます有効に活用されることを願っている。
【選考委員】
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助成概要と選考理由
事業名 | 高齢化が進む被災地における長期的な心のケア活動 |
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団体名 | 認定特定非営利活動法人 心の架け橋いわて |
助成額 | 495万円 |
選考理由 | 岩手県大槌町でのメンタルヘルスケアの必要は大きく、その対策や体制は十分とは言えない現状がある。仮設住宅の談話室や集会室、および本法人の活動拠点での茶飲み会形式のサロンで行う「心のセルフケア」活動、メンタルヘルス専門家チームによる被災者宅訪問での心身の状態把握や健康相談・助言・指導活動、更には大槌町社会福祉協議会生活支援相談員との被災者宅への同行訪問など、被災者へのメンタルヘルスケア活動を行う本事業の必要性と意義が大きいことから助成事業とした。 本事業を通して、被災者のメンタルヘルスケアが促進され、認知症や精神不調者への早期介入、自殺予防にも効果が出ることを期待している。更には地元支援団体との連携拡大やICTの活用、地元人材の育成などを通して、今後、地域主体の自立的かつ継続的なメンタルヘルスケア体制が確立されることを期待している。 |
事業名 | 岩手県釜石市箱崎半島部の漁業集落復興まちづくり事業 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 釜石東部漁協管内復興市民会議 |
助成額 | 391万円 |
選考理由 | 本団体、通称「おはこざき市民会議」は、釜石市箱崎半島部の漁業集落の8地区が連携して、住民が主体となった「持続可能なまちづくり」を目指して設立された。復興を考える中で、住宅再建など震災に起因する課題はもちろん、漁業の後継者不足など地区で共通した課題に対し、まちづくり専門家や大学とも連携しながら着実に活動を続けている。 本助成では、これまでも活動実績のある箱崎半島部の漁業の魅力を発信し、未来の担い手づくりにつなげる「漁業の学舎(ウミノガッコウ)」、特産品の開発と販売促進、そして地域住民が主体となった協議の場づくりを支援する。 地域の抱える課題は箱崎地区だけではなく沿岸部に共通しているが、本事業が地域を越えたまちづくりのモデルとなり、地域住民の主体性を活かしたまちづくりにつながることを期待する。 |
事業名 | 移動を支え、暮らしを支え、復興を支える地域の多様な担い手育成・連携事業 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 移動支援Rera |
助成額 | 488万円 |
選考理由 | 本団体は東日本大震災を機に、移動困難な住民に対して、送迎活動等のサポートを行い生活上不可欠な移動手段を確保することを目的に活動を始めた。 今回の事業は、移動が困難な状況が必ず移動のみならず生活上の様々な困難を抱えている点を重視し、「くらしの困難」に対する緩やかに見守るネットワークを多様な担い手とともに築き、地域全体で支え合うまちづくりを目指すという新たな視点からの事業提案である。その為にはボランティア活動に頼っていた活動を、継続可能なしっかりとした仕組みにする事や、自らの活動に加え、公共交通の利便性向上や地域住民自らが積極的に関与する事を学ぶ場づくり、併せて移動以外の様々な生活上の問題を考え見守る環境づくりを進める必要がある。今まで自らが取り組んできた支援以外の分野の方々や地域の皆さんとの連携・協力が強く求められる事業となるが、地域で移動を支える仕組みが充実されることを期待している。 |
事業名 | 東日本大震災被災地におけるグリーフケアの実践と普及・啓発活動 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 仙台グリーフケア研究会 |
助成額 | 500万円 |
選考理由 | 本団体は、震災前2004年から自死遺族のグリーフケアのためにわかちあいの会を開催し、その後自死以外で亡くなった方々のわかちあいの会も実施してきた。震災以降は、震災で死別を体験しグリーフケアを必要とする人々を主な対象に丁寧に寄り添いながら、わかちあいの会を仙台市だけでなく石巻市や気仙沼市などでも開催してきた。近年は、医療者向けに「自死未遂者対策研修会」や教育者向けに「生と死を考えるワークショップ」等を開催するなど、グリーフケアの啓発に力を入れている。今回の助成では、グリーフケアの担い手養成講座や電話相談、分かち合いの会を支援する。 大切な人を失った心の痛みや悲しみに対するケアは、その性質上なかなか社会的に顕在化せず、その癒しに時間も要する重要な課題である。震災後5年が経過するが、一人ひとりに丁寧に寄り添うグリーフケアがこれからも地道になされることを期待する。 |
事業名 | 福島で安心して暮らせるように、放射能に対して不安を抱く被災者に寄り添う活動 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 ふくしま30年プロジェクト |
助成額 | 299万円 |
選考理由 | 本団体は、原発事故による放射能について不安を感じている人々が自ら判断して日々の行動ができるように、放射能測定によるデータを公開・蓄積している団体である。その測定活動は、食品・水の放射能測定、ホールボディカウンターによる内部被曝測定、空間線量測定マップの作成等が中心であるが、子どもたちの遊び場や通学路の線量測定、外干しの洗濯物や掃除機のごみパックなど身近な日常生活の線量測定にも取り組み、生活者が肌感覚でわかるように努めており、NPOでなければできない活動である。 本助成では、放射能に不安感を抱く被災者向けに気軽に参加できる相談会・交流会を年6回開催するとともに、ニュースレターは毎月、冊子は年4回発行するなど放射能に関する情報を丁寧に提供する。 放射能の影響が長期間続く福島において、さまざまな考え方や立場の人々を同じ市民としてやわらかく受け止め、放射能についての情報がしっかりと提供されることを期待する。 |
事業名 | 農業高校における実践的6次化商品開発事業 |
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団体名 | 一般社団法人 Bridge for Fukushima |
助成額 | 220万円 |
選考理由 | 従来から農業が盛んな福島県は労働人口の10%が農業に従事し、県内総生産は関連産業を含めると10%を超えていた。しかし、震災の影響、風評被害などで農産物の価格が下がり、離農や後継者不足が懸念されている。そのような状況を打破するには、高い競争力や付加価値のついた農産物の製品開発や若い人材の育成が急務となっている。本団体は次代を担う高校生の人材育成を目指して、企業とNPOが高校と協働で復興課題や社会課題に対するプロジェクトの計画、実施に取り組み、6次化産品の開発・製作・販売まで一貫して行うというユニークなプログラムを提供してきた。今回から対象高校を4校に拡大することからインパクトが拡大することを願って助成対象とした。 本事業の成果として、最終成果品が完成し試作品販売会が成功すること、また、受講した高校生がその後どのように成長するかに注目したい。課題解決力や経営の基礎力のついた高校生が生まれることを期待し、ひいては福島県の農業力の向上に期待している。 |
事業名 | 福島へそのまち親子の明日も元気プロジェクト |
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団体名 | 特定非営利活動法人 本宮いどばた会 |
助成額 | 206万円 |
選考理由 | 本宮市は福島県のほぼ中央にあり、交通の要所として「住みやすい街」ランキングでは上位に入る街である。震災以降、長期にわたり避難を余儀なくされていた家族が定住する傾向にある。昨年、地域の子育て支援の拠点となることを期待して助成を行ったことで、少しずつではあるが着実に、地域に定着をしていることがうかがえた。今回の助成事業では、乳幼児の保護者のニーズに特化したプログラムを充実させて、保護者のストレス軽減、社会参加を促し、人と人、人と地域、未来の元気をつなげていくことへのチャレンジを評価した。 表面的には日常を取り戻したかに見えるが、「漠然とした不安」を抱えた保護者に寄り添い、安心して子育てのできる日常を再構築するための活動に取り組む本団体が、地域とともに歩む子育て拠点として一層発展することを期待する。 |
事業名 | 南三陸コミュニティ再生・活性のための、住人の手による地域連携プロジェクト |
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団体名 | 特定非営利活動法人 夢未来南三陸 |
助成額 | 498万円 |
選考理由 | 南三陸では復興の進展と共に住まいの分散化、地域の複雑化が顕著になっている。そのような中、月例会の開催や地域情報誌の発行、地域内巡回訪問の実施などを通して地域連携の充実化と情報の共有化を行い、更には防災教育の実施や、次世代若手人材の育成事業を実施するのが本事業である。本事業を通して、高台移転による住民間のコミュニティ形成、更にはその周辺地域や旧コミュニティとの新たなコミュニティ形成、また、将来のコミュニティ形成に必要な若手人材育成に寄与することが期待できる。また、前年までの事業の成果が出ており更なる必要もあることから助成事業とした。 本事業は、世代間交流が促進され、次世代のリーダーを含めた地域住民参加によるコミュニティ作りを目指したものであり、それが他のコミュニティ構築のモデル的な役割を果たすことを期待している。 |
事業名 | カーシェアリングにおけるコミュニティ支援 |
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団体名 | 一般社団法人 日本カーシェアリング協会 |
助成額 | 500万円 |
選考理由 | 本団体は、震災後被災地において仮設住宅等に全国から寄付された車両を住民自らがカーシェアリングを運営することにより、車両の不足解消と地域の活性化を目指す活動を行っている。 今回の応募事業は仮設住宅からの住み替えが進む中で、平成27年度に実施したカーシェアリングの実績を踏まえ、新たに3か所の復興公営住宅での導入サポートを行うもので、実際のニーズ調査を含め、今後他地域へも導入していく事が出来るのかの検討も併せて行っていくものである。特に復興公営住宅においては住民同士のコミュニティ形成が必要とされている。また、車両を失い移動手段を持たない住民の存在や、駐車場の不足と言った問題も顕在化している中、解決手段としてのカーシェアリングは注目されており、他地域への導入も期待される。一方で、住民組織で運営する事の難しさや継続的な経営体制という課題もあるが、全国モデルになりうる取り組みとして期待している。 |
事業名 | 高齢化率が38.3%で、しかも東日本大震災で沿岸部より避難して来られた方が多く住む、鶴ケ谷を元気にする交流事業 |
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団体名 | つるがや元気会 |
助成額 | 100万円 |
選考理由 | 鶴ケ谷地区は仙台市の近郊新興団地地区で、高齢化率が38.3%と高い地区である。東日本大震災で全壊や半壊した住宅(全半壊率18.7%)や店舗が数多くあり、更には400名を超える沿岸部からの避難者が住んでいる。従来から抱える高齢者問題に加えて、震災の被害対応、避難者の受け入れ対応という課題に直面している。本会は避難者を含めた高齢者対策として、健康・市民講座や童謡を歌う会の開催、憩いの場としての「ほっとカフェつるがや」の運営などを行ってきた。未だにニーズが高いことから同様の活動を継続するのが本事業である。家に閉じこもりがちなお年寄りが外に出て他の方と交流することで、健康管理、心理的な安定を促すことができる本活動は高齢者対策として社会的な意義が大きいことから助成事業とした。本団体は自治体からの助成金が無いために活動資金の確保や事務局を担う人材の確保が課題であるが、本事業を通して高齢者が元気な鶴ケ谷の実現に貢献できることを期待している。 |
事業名 | 子ども元気フィールド設置 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 石巻スポーツ振興サポートセンター |
助成額 | 500万円 |
選考理由 | 本団体は、震災前より宮城県石巻市において、「いつでも、どこでも、だれとでも」スポーツを楽しめる街づくりを目的に設立され、特に地域の子どもたちの育成に積極的に関与している団体である。 宮城県石巻市では、学力・運動能力テストとも低下傾向が著しく、不登校の生徒が増えるなど、震災から5年が経過したが、子どもたちを取り巻く環境は一向に改善されていない状況である。 本助成事業は、運動する機会や場所を失われた子どもたちに、課題にチャレンジする挑戦心を育み、スポーツが苦手でも達成感を体験できるボルダリングを通じ、震災後より感じているストレスを開放させ、生きる力と自立心の育成を図るものである。本助成により子どもたちの生活環境の改善やストレスの解消が図られることを期待する。 |
事業名 | 外に出て、元気に過ごそう!!ふくしま!! |
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団体名 | 社会福祉法人 福島市社会福祉協議会 |
助成額 | 433万円 |
選考理由 | 本団体は、福島県福島市において社会福祉事業の健全な発達および社会福祉活動の活性化を通じ、地域福祉の推進を図ることを目的として震災前に設立された団体である。 福島県福島市には、震災による津波および原発事故の影響により福島県沿岸部から多くの被災者が避難しているが、閉じこもった生活を送る傾向にあり、要介護状態に陥る高齢者や自殺者の増加など、避難に伴う生活および健康への悪循環が見られる。 また、震災前は2世代、3世代で生活していた家族が、避難により別々に生活することになり、世代間交流が持てず寂しい生活を送っている。 本助成事業は、閉じこもりがちな被災者を対象に、世代間交流を含めたツアー等の外に出る機会を様々な角度から行うことにより、被災者に元気を取戻すことを目指すものである。本助成により被災者の生活の自律が図られることを期待する。 |
事業名 | 市民交流型の農業再生とブランド野菜の育成事業 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 郡山農学校 |
助成額 | 500万円 |
選考理由 | 特定非営利活動法人郡山農学校は、震災前より福島県郡山市において安心安全で美味しい農作物の生産者と販売者・消費者の交流など、地元の農業や食文化に対する理解を深めるための事業を実施してきた団体である。 福島県郡山市では、米の全袋検査や各種農産物の放射能計測データの公開を積極的に進めているが、農産物の販売価格が上がらないなど、基幹産業である農業において原発事故の風評被害の影響を受けている。 また、原発事故のあった福島県双葉郡から多くの被災者が避難しているが、郡山市民とふれあう機会は少なく、地域コミュニティの希薄化が懸念される。 本助成事業は、市民参加型農業に係る枠組みを整備・拡充し、郡山市民と双葉郡からの被災者が、農業者とともに「安心・安全」な郡山ブランド野菜の育成を通じて交流を図り、風評被害に立ち向かいながら、農業再生を目指すものである。本助成により郡山市民と双葉郡の被災者の相互理解が深まり、農業再生が実現することを期待する。 |
事業名 | Oh! マチ MUSIC FESTA 2016 |
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団体名 | 商店街振興組合法人 釜石市大町商店街振興組合 |
助成額 | 150万円 |
選考理由 | 本団体は、震災前に岩手県釜石市の中心市街地にある大町商店街の振興を図ることを目的に設立された団体である。 大町商店街は、震災による津波で壊滅的な被害を受け、多くの会員企業が仮設店舗による営業を余儀なくされた。震災から5年が経過し、大型商業施設出店の影響および時間の経過に伴う意識の萎縮から再建を断念する会員企業の出現等により、商店街の経済的機能弱体化が懸念されている。また、震災以降、大町商店街周辺には、復興公営住宅が建設され、他地域住民の流入により地域コミュニティの希薄化も懸念されている。 本助成事業は、住民参加型音楽祭と商店街会員企業が出店する青空市場を開催し、中心市街地活性化および地域住民間交流の促進を図るものである。本助成により商店街の賑わいの創出と地域コミュニティの再形成に寄与することを期待する。 |
事業名 | 漁師ぐらしを次世代に伝える「すなどり先生」プロジェクト |
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団体名 | 一般社団法人 まるオフィス |
助成額 | 479万円 |
選考理由 | 本団体は、震災直後から宮城県気仙沼市唐桑地区において復旧活動に貢献してきた被災地内外の若者を中心に設立され、大学生のワークキャンプやインターンシッププログラムを展開している団体である。 宮城県気仙沼市唐桑地区は、牡蠣・帆立・ワカメなどの養殖漁業が盛んな地域であったが、漁業不振に加え震災の影響により担い手不足が加速しており、地域の衰退につながることが懸念されている。 本助成事業は、地域の中高生と地元漁師が主体的に関わり、漁業体験を通じて地域の魅力・課題・アイデンティティの再発見を促し、次世代にその文化を伝えていく持続可能な「地産地消」の地域教育プログラムを構築するとともに、体験型観光として一般参加者を受入れ、交流人口の増加を図るものである。本助成により、漁業に従事する後継者や観光客が増え、地域活性化につながることを期待する。 |
事業名 | 新渡波西地区「一人一人が主役のまちづくり」支援事業 |
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団体名 | 一般社団法人 石巻じちれん |
助成額 | 500万円 |
選考理由 | 本団体は、震災後に宮城県石巻市において被災者が寄合い「孤独死をなくそう」を合言葉に設立された団体である。 宮城県石巻市では、復興公営住宅の整備といったハード面の復興は着実に進んでいるものの、被災者は、震災により負った心の傷に加え、新しい場所での生活面の不安を抱えており、コミュニティ形成等のソフト面での支援が必要な局面となっている。 本助成事業は、新渡波西地区に新しく建設される復興公営住宅の入居者と近隣住民が交流する機会を平成28年6月の入居前から実施することを通じ、地域住民が全員で協働・参加する活動を、住民自らの手で企画・実行し、そのプロセスと成功体験をもって住民の自律活動を担保できるコミュニティ・自治組織づくりを目指すものである。本助成がコミュニティ形成支援のモデルケースとなることを期待する。 |
事業名 | 福島踊屋台伝承事業 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 福島踊屋台伝承会 |
助成額 | 213万円 |
選考理由 | 本団体は、福島県福島市において現存する福島市唯一の踊屋台を保存活用することにより、中心市街地の活性化および元気な故郷福島づくりを図ることを目的として震災後に設立された団体である。 福島県福島市では、仮設住宅での不自由な避難生活を余儀なくされている被災者など、原発事故の影響を受け生活している方が多くいる。特に子どもたちは体に対する悪影響を考え、外で遊ぶことが出来なかった辛い経験をしており、心のケアを考え、共に楽しみ交流できるコミュニティが必要となっている。 本助成事業は、震災を乗り越え、『福島復興のシンボル』として50年ぶりに修繕・復活を果たした踊屋台を活用し、未来を担う子どもたちを中心に街なかで巡行等の事業を行うものである。本助成により子どもたちの元気な姿と復興に向かう福島の姿を県内外にアピールできることを期待する。 |
事業名 | 小高区の新たなコミュニティ・まちづくりを担う拠点の設置とサロン・イベントの運営 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 はらまち交流サポートセンター |
助成額 | 298万円 |
選考理由 | 本団体は、震災前より福島県南相馬市および相双地域の経済活動活性化のため、観光・スポーツ・文化を通じて、交流人口の拡大に取り組んできた団体である。 福島県南相馬市小高区は、原発事故の影響により居住制限されているが、平成28年4月を目標に解除され、住民帰還が始まる予定となっている。 しかしながら、現時点での帰還・定住希望者の割合は高齢者を中心に2割程度にとどまるなど、帰還開始後の生活基盤やコミュニティのあり方を模索しなければならない状況となっている。 本助成事業は、小高区帰還後に、帰還者、避難者や外部協力者が集えるコミュニティ拠点を整備し、高齢者を中心とした心の拠り所となる日常的なサロンを運営するとともに、小高商店街活性化に資する交流・まちづくりイベントを開催し、住民、協力者が一体となった復興を目指すものである。本助成により地域コミュニティ再生および地域活性化に寄与することを期待する。 |
事業名 | 浪江町伝統芸能継承事業 |
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団体名 | 浪江町伝統芸能映像記録作成事業実行委員会 |
助成額 | 139万円 |
選考理由 | 本団体は、原発事故の影響により全住民が町外避難している福島県浪江町の伝統芸能継承と避難指示解除後の住民帰還時における伝統芸能復活に資することを目的に設立された団体である。 福島県浪江町では、震災前に約30あった民俗芸能団体のうち、7団体しか再開しておらず、承継されてきた伝統芸能は、「担い手の分散」、「避難先での定住」および「祭礼場の放射能汚染」等の課題を抱え存続の危機に晒されている。 また、当団体では、これまで外部委託により記録映像を作成していたが、多額の費用がかかり、継続的な作成が困難な状況となっている。 本助成事業は、継続的な映像記録作成のため、撮影機材を購入し内製化を図ることと、劣化の激しい道具を購入し、伝統芸能の継承に弾みをつけるものである。本助成により地域伝統の次世代への継承および住民帰還開始後の地域コミュニティ再生に寄与することを期待する。 |
事業名 | 地域みんなの「居場所」づくり |
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団体名 | 特定非営利活動法人 まごころサービス国見センター |
助成額 | 132万円 |
選考理由 | 本団体は、震災前に福島県国見町において「困った時は、お互いさま」を合言葉に、住み慣れた自宅や地域で、心を支え合う人々に囲まれ、誰もが安心して暮らせる街づくりを目指して設立された団体である。 福島県国見町では、震災後、原発事故の影響で避難し仮設住宅でふさぎこむ被災者をはじめ、家に閉じこもっている高齢者、子育てに悩む母親など課題を抱えている方々が多くいる。当団体では、在宅介護サービス等の活動を通じ、課題解決には、助ける側と助けられる側を区別した関係ではなく、共に地域で生きていく者として、「助け合い」を草の根レベルで地域に広げる必要があると認識している。 本助成事業は、地域の誰もが、気楽に利用できる「居場所」を運営し、被災者や高齢者、子どもたちなど多世代にわたる地域住民が交流することにより、閉じこもりや引きこもりを予防し、楽しみや生きがい、友達づくりを図るものである。本助成により地域住民のコミュニティ形成に寄与することを期待する。 |
事業名 | 「いわき湯本温泉フラのまち宣言」関連事業 |
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団体名 | じょうばん街工房21 |
助成額 | 150万円 |
選考理由 | 本団体は、震災前より福島県いわき市常磐地区の街づくりや地区振興のため種々な活動を実施してきた団体である。 福島県いわき市常磐地区では、「いわき湯本温泉」やフラダンスで有名な「スパリゾートハワイアンズ」など観光業に関連する事業者が多いが、観光客が震災前の約6割にとどまるなど、原発事故による風評被害の影響を受けている。このような状況のなか、常磐地区では、「いわき湯本温泉フラのまち宣言」を行い、温泉の「和」の文化とフラダンスの「フラ」の文化を融合したまちづくりを進めている。 本助成事業は、「いわき湯本温泉フラのまち宣言」関連事業として、JR湯本駅前を中心に南国を思わせるヤシの木の植栽とイルミネーションの設置により観光客や市民の心を癒し、心の復興につなげるものである。本助成により「いわき湯本温泉」、ひいては、いわき市に明るさを取戻すとともに、風評被害の払拭につながることを期待する。 |
事業名 | 未来へつなぐ光プロジェクト・サウンドイルミネーション |
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団体名 | 特定非営利活動法人 いわきイルミネーションプロジェクトチーム |
助成額 | 296万円 |
選考理由 | 本団体は、福島県いわき市においてイルミネーションと再生可能エネルギー発電の2事業を柱とした活動を行い、復興事業や地域振興に寄与することを目的として震災後に設立された団体である。 福島県いわき市では、震災から5年が経過し、海岸堤防や防災緑地の整備などインフラ関係の整備は進んでいるものの、原発事故による避難地域に隣接していることから、避難者を含め多くの地域住民が不安を抱えており、心の復興が課題となっている。 本助成事業は、津波被災地において、サウンド・イルミネーションによるダンスイベントを行い、音楽の心理的効果とイルミネーションのライトセラピー効果にて、被災者の心のケアの支援を行うものである。本助成により多くの被災者の心の復興に寄与することを期待する。 |