現地NPO応援基金[特定助成]大和証券フェニックスジャパン・プログラムでは、資金支援のほか、新規助成対象団体を主な対象に、事務局主催の合同研修会を助成期間中に2回実施しています。
助成期間の半期を過ぎた5月12日第2回の研修会を実施しました(仙台開催)。助成対象団体より8団体、選考委員、そしてドナーである大和証券担当者、22名が参加しました。
現地NPO応援基金[特定助成]大和証券フェニックスジャパン・プログラムは、大和証券株式会社からの寄付により、東日本大震災の被災3県等の現地NPOの組織基盤を強化するために、NPOが実施する「人材育成」の取り組みを応援するものです。
今回の合同研修会では、育成事業の中間時点にあたることから、団体ごとの育成事業の中間報告と課題の共有、残りの助成期間を有効に使うための話し合いを行いました。
1.育成事業中間報告
(新規助成・6団体、継続助成・2団体)
はじめに、下記の各団体の育成対象スタッフから、8分程度で、この半年間に「実施したこと/それによって達成できたこと・変化したこと」、「今後実施すること/その目標」、そして現在抱えている「課題・悩み」についてプレゼンテーションを行っていただきました。
(助成対象団体)
<新規助成>
● 特定非営利活動法人 愛ネット高田 (岩手県 陸前高田市)
計画名:被災地の障がい者、要介護高齢者等の持続的支援のための運営管理者養成
● 特定非営利活動法人 奏海の杜 (宮城県 南三陸町)
計画名:被災地の障がい児を楽しく療育するイベントの企画力向上のための若手スタッフ育成
● 特定非営利活動法人 ウィメンズアイ (宮城県 登米市)
計画名:被災地の女性による起業と事業継続の支援力向上のためのスタッフ育成
● 特定非営利活動法人 ポラリス (宮城県 山元町)
計画名:被災地で暮らす障害者の素敵な生き方・はたらき方を支援する人材育成
● 特定非営利活動法人 みんなのひろば (福島県 伊達市)
計画名:線量が高い地域における発達障がい児サポートの支援力向上のためのスタッフ育成
● 一般社団法人 おらが大槌夢広場 (岩手県 大槌町) ※欠席・ビデオレターによる報告
計画名:共育プログラムの発展と継続のための基盤づくりとその担い手となる若手スタッフの育成
<継続助成>
● 一般社団法人 SAVE TAKATA (岩手県 陸前高田市)
計画名:被災地における若者定住者創出のための若年無業者支援の専門家育成(2)
● 特定非営利活動法人 浦戸アイランド倶楽部 (宮城県 塩竈市)
計画名:浦戸寒風沢コミュニティハウスの管理業務を担う農業指導員の育成(2)
2.個別ワークとスーパーバイザーによるスタッフの未来宣言
続いて、団体ごとにスーパーバイザーと育成対象スタッフ同士が話し合うための時間を取りました。この1年で目標にしてきたことについて、何ができて、何ができていないのか、スーパーバイザーと対象スタッフで確認し合いました。助成期間も残り5か月となり、今後、組織の中で育成対象スタッフがどのような役割を持っていくのか、力をつけてどのように地域の中で活かしていくのかを考えていく必要があります。
その後、スーパーバイザーより、対象スタッフが助成期間終了後にどのようになっていてほしいかを宣言していただきました。宣言の中では、事業の採算性も意識してさらにレベルアップを図ってほしい、チェンジ・エージェントとして地域を担う人材の中核になってほしい、人を育てる人になってほしい、といった言葉が出てきました。
3.まとめ
最後に、参加された本プログラムの選考委員の皆さんからもコメントをいただきました。選考委員会が、各助成先団体の活動内容に対して期待を込めたポイントも意識してほしいということや、また、事業におけるミッションの担保というNPOに特有の課題がある一方、新しいビジネスモデルの必要性というNPOに限らない普遍的な課題が見出された、というコメントをいただきました。
助成期間はあと半年足らずで終了しますが、団体の事業そのものは続いていきます。ここで目標を見直し、意識的に残りの期間を過ごすことで、次のステップに続いていくのではないでしょうか。
この助成プログラムでは、現地NPOの組織基盤強化のために組織の中核となるスタッフの育成事業を応援しています。
震災後5年がたち、補助金、助成金も被災地支援という名目のものは少なくなってきました。団体として自立するためには、事業性も必要で、一方でNPOだからこそミッションが大事です。いずれの団体も、その狭間で悩んでいる様子が見受けられました。その中で、人を育てるとはどういうことか。
今回の研修会では、スーパーバイザーに限らず育成対象スタッフの皆さんも、事業とミッションと両方について意識をしておられたように思います。それこそ本プログラムが目指した育成すべき“人材”の姿に近づいているように思いました。今後、スタッフ育成によって、どう組織基盤が強化されていくのか、見守りながら、助成期間のラストスパートに向けて事務局もフォローをしていきたいと思います。