被災者である地域住民が主体的に復興に向けた事業を行うための環境作りと支援を行う「いわて連携復興センター」。代表の鹿野順一さん、事務局長の葛巻徹さんに伺った。【助成金額174万円】
「いわて連携復興センター」加盟9団体
盛岡エリア:「いわてNPOフォーラム21」「いわて地域づくり支援センター」「風・波デザイン」
県南エリア:「花巻市民活動支援センター」「いわてNPO-NETサポート」「レスパイトハウス・ハンズ」
沿岸エリア:「@リアスNPOサポートセンター」
県北エリア:「カシオペア連邦地域づくりサポーターズ」「やませデザイン会議」
聞き手:助成金の使途は主に葛巻さんの人件費だそうですね。
葛巻:これまでサラリーマンをしながらボランティアで中間支援の活動を行ってきました。でも、今回の助成のお陰で2年越しの夢である「転職」(専任)が実現しました。市民活動(NPO)に目覚めたのは自分の子供がきっかけです。子供達の将来を考えて、自分がいなくなった時に子供を守ってくれるのは地域や社会であると。その社会を「変えていく」一つの方法が市民活動だと考えます。復興には、NPOの力と連携が不可欠です。
聞き手:実際にどんな活動をされていますか?
葛巻:地域コミュニティー支援としては、企業から無償提供してもらったプレハブを陸前高田に集会場として建設するためのマッチング、岩手県復興局との協働では仮設住宅の環境アセスメント(調査)の実施、釜石市の商店街支援、その他に、外部のNPOやNGOとの情報交換や問題共有。またそこと地元の行政をつなぐ活動などです。今後は、県内で立ち上がった新しいNPOのネットワーク構築や運営支援も予定しております。
聞き手:震災から半年を振り返って如何ですか?
鹿野:「震災から6か月」とは言っても、それは単なる数字でしなかくて、被災者1人1人にとってはそれぞれ意味が違う。その微妙な違い、感覚のズレを確認し合いながら活動しています。その中で判ってきたのは、当初、想定した設立の趣旨はもう少し先に具現化されるものだということです。「自分たちで復興しなきゃ」とは言っても自分たちで復興できる「土台」がないことに気づいたんです。今は、その土台作りのお手伝いをすべき段階。1から2へ行くのではなく「1.5の段階としての支援」をすべきだと。さしずめ今は下準備、下ごしらえの時期。それだけに、中間支援の活動が外側に見えにくい部分があるとは思います。
聞き手:現在の課題や今後の計画はどうでしょう?
鹿野:行政はパートナーを欲しがるもの。そういう行政依存型のNPOではなく自立したNPOが求められます。そして岩手県民がNPOに気づくこと。一般市民が「自分のことは自分でやろう」と考え行動すること。それから助成に関してですが、これまで、中間支援団体への支援はなかったんです。「新しい公共」支援事業の助成も受けましたが、人件費は17万円。それでは家族は養えない。その点、日本NPOセンターの助成はとても助かっています。いわて連携復興センター全体の予算は本年度で1千万円程度ですが、3年後あたりには、私が裏方に回って「資金集め」に専任するというのが理想ですね。
2011年9月27日(宮城県仙台市)
取材者:福田春樹