第2期第3回助成先一覧 | 選考総評 | 助成概要と選考理由
第2期第3回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)
テーマ | 被災者が主役の地域復興の実行に向けた中間支援NPOとしての基盤 |
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団体名 | 特定非営利活動法人@リアスNPOサポートセンター(岩手県釜石市) |
主な活動地域 | 岩手県釜石市・大槌町 |
選考理由 | @リアスNPOサポートセンターは、「住民が主体となって行うまちづくりを実現」するため、衰退が進む岩手県釜石市で2004年に設立された。住民・行政・地元企業・NPOが連携し、地域が抱える問題を解決するためにそれぞれの「思い」を吸い上げ、プラットホームとして支えることと「市民力の向上」を活動目的とし、「かだって(集う・参加する)」をキーワードに、まちかど交流館や情報館の運営、釜石ポータルサイトの運営、情報誌の発行に取り組む共に、地域の人材育成事業等にも取り組んできた。震災後は、地元商店街の復興支援、地域連絡会議の開催、地域コミュニティ再生事業、被災地雇用創出事業、仮設住宅支援連絡員事業等に取り組んでいる。 今後のビジョンに、「これまでに培ってきた地域でのネットワークや信頼を活かし、地域内の協働だけでなく、地域外からの支援をつなぎ、地域復興のハブとして機能することで、被災者が主役の復興のプラットホームになる」を掲げる。組織課題に、1)行政からの受託事業への過度な依存を見直し、会費や寄付など長期的な賛同者・支援者を獲得し、自主財源比率を高めること、2)会計報告書や事業成果報告等の情報開示を行い、組織への信頼性と透明性を高めること、3)被災者が主役の復興に向け、政策提言能力を高めることが上げられ、組織基盤強化策として、団体のミッション・ビジョンの再構築と組織内共有、ミッション・ビジョンを実現するためのスタッフの能力強化に取り組む。 震災後、被災地のNPOとして「今出来ること」を全ておこなってきた結果、過剰な事業を抱え込み、相対的に組織基盤が脆弱となった。本団体は、応募の回数を重ねるごとに、組織課題が「ワガコト化」し、より明確に言語化されるようになり、今回3度目の挑戦でほぼ全員の推薦を得て助成されることなった。組織基盤強化に取り組むよいタイミングであろう。本団体が現地NPOの組織基盤強化のモデルとなるよう期待したい。 |
テーマ | 気仙沼における被災者主体の復興支援が担える地元住民主体のNPOを目指した組織基盤強化 |
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団体名 | ボランティアステーション in 気仙沼(宮城県気仙沼市) |
主な活動地域 | 宮城県気仙沼市 |
選考理由 | ボランティアステーション in 気仙沼は、震災後に地元住民主体で設立された団体で、全国からのボランティアと共に活動を実践しながら、仮設住宅への入居に伴い断絶した地域コミュニティを新たに構築し、そこで生きる人たちの手による「ふるさとづくり」をより活性化することを目指し、仮設住宅での自治会組織づくり支援、自治会連絡会の立ち上げ支援、仮設住宅の見守り支援やサロン活動、花(植え)プロジェクト、企業とタイアップした仮設住民対象の温泉旅行等に取り組んできた。 今後のビジョンに、「地元ボランティアによる見守りや心のケアができる組織と体制づくり」と「長期的には仮設住民の新しいコミュニティ形成をサポートする地元被災者による地元被災者のための団体を目指す」を掲げ、1)気仙沼地区で復興支援活動を続けるNPO、事業者、地域組織が情報交換・意見交換ができるネットワークづくりを進め、行政担当者や外部支援者を呼び、支援者や被災者で意見や考えを共有し、信頼関係を構築しながら参加者を増やす「渦巻型」のネットワークを構築する、2)外部からの支援者の情報拠点となり、地域や団体とのマッチングを行う、3)復興ニュースの発行に取り組むこととしており、本助成金は運営の中核を担う事務局スタッフの人件費、復興ニュースの発行費、事務所の運営・管理費に使用する。 地域コミュニティの再生には腰を据えた長期的な取り組みが不可欠であり、地元住民主体で設立された本団体の果たす役割が期待される。活動への情熱とアイディアだけでなく、これを支える組織の理念や実現方法の明確化、運営組織の基盤強化に取り組まれ、継続的な活動が展開できるよう期待したい。 |
テーマ | 住民主体の復興住宅提案づくりにおける新たな共助型コミュニティの構築と継承を目指したNPOの基盤強化 |
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団体名 | あすと長町仮設住宅共助型コミュニティ構築を考える会(宮城県仙台市) |
主な活動地域 | 仙台市市内 |
選考理由 | あすと長町仮設住宅は、宮城県内の被災住民のほか、岩手県、福島県からの被災者も入居する仮設住宅である。様々な立場の人々が入居している状況の中では、新たなコミュニティの形成が必要なことから、2011年8月に仮設運営委員会を立ち上げて支援物資の配布やイベントなどに取り組んできたが、その実績が入居者に評価され、運営委員会は2012年3月11日に自治会に移行した。 自治会では、仙台市が整備する被災者用の復興住宅について、集会場の利用方法などを提言してきたが、これからは復興住宅の建設計画に対して本格的な提言活動を行う必要性があるとの認識から、自治会とは別組織として、「あすと長町仮設住宅共助型コミュニティ構築を考える会」を立ち上げた。 今後のビジョンに、「復興住宅を行政主体ではなく、住民が使いやすく、仮設住宅で形成してきたコミュニティを継承できる住民主体の共助型復興住宅モデルを提言する」ことを掲げ、1)住まいまちづくりワークショップの開催、2)住まい相談サロンの開催、3)居住意向調査の実施、4)住まいまちづくり新聞の発行、5)復興住宅の提案、に取り組むこととしており、本助成金は組織の中核を担うスタッフの人件費、提言をまとめる過程でのワークショップなどの運営費、組織の管理費に使用する。 行政が整備する復興住宅に対して、住民が主体となって、高齢者や子育て世代に配慮された住みやすいモデルプランを提言するという企画が評価された。復興住宅の建設に向けて良い提言が行われるとともに、建設後も、まちづくりNPOとして継続的な活動ができるように組織基盤が強化されることを期待したい。 |
テーマ | 障害児の被災者家族のための継続的なサポート運営を目指したNPOの組織基盤強化 |
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団体名 | 特定非営利活動ふよう土2100(福島県いわき市) |
主な活動地域 | 福島県いわき市、郡山市 |
選考理由 | ふよう土2100は、いわき市を中心として「地域の宝を見直して、地域の輝きを取り戻し、地域に愛する人材を創り上げようと」いう目的を掲げて、「いわきフラオンパク」など、まちづくりを推進する活動を行ってきた。 東日本大震災で被災した後は、市内の避難所での炊き出しや、母と子の体験交流プログラムの実施、被災地の現状を伝えるスタディツアーなど多様な事業を展開してきたが、複数の役員の家族に障害児がいることから、放射能汚染地域から郡山市に避難してきた被災者のうち障害児の家族のサポートを行うこととした。 今後の活動ビジョンで、障害児がいる被災者家族の交流スペースとして「交流サロンひかり」を開設して、親たちが抱える悩みを共有し一緒に解決する方法を考えていくことを掲げ、1)早期からの療育活動、2)社会で生きてゆくために必要な生活技術の教育、3)自立するための就労支援、4)生き甲斐のある生活を送るための余暇支援活動、5)社会に向けた啓発活動に取り組むこととしており、本助成金は「交流サロンひかり」の運営費、施設運営を担うスタッフの人件費、人材育成のための研修費に使用する。 郡山市には障害児家族をサポートする施設が少なく、放射能汚染地域から避難してきた障害児がいる家族にとっては交流スペースが重要な役割を果たすものと判断し、本格的に活動を推進するための組織基盤づくりを応援することとなった。交流サロンの継続的な運営ができる組織として、基盤強化が図られることを期待したい。 |
テーマ | 南相馬市リアル情報発信サイトの構築に向けた中間支援NPOとしての基盤強化 |
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団体名 | 特定非営利活動法人フロンティア南相馬(福島県南相馬市) |
主な活動地域 | 福島県南相馬市 |
選考理由 | フロンティア南相馬は、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故により被災した地元の若者が中心となり立ち上げたNPOである。これまで、幼稚園や学校への食糧の搬入や支援物資のマッチング、通学路の放射線量測定、子どもたちへの保養プログラムの提供、地場産品の広報宣伝活動などに取り組んできた。 今後の活動ビジョンに、基盤事業である「子ども支援事業」と「経済産業支援事業」に加えて、「リアルな情報発信サイトの構築」を掲げている。具体的には、1)総合的な支援ニーズの情報(1.県内外の支援団体の紹介及び支援情報、2.放射能汚染状況のMAP制作及び公開、3.仮設住宅情報、4.警戒区域解除における復旧活動ボランティア募集情報など)、2)市内情報(1.衣食住に関する店舗情報、2.公共施設情報、3.交通機関情報、4.医療関連施設情報、5.雇用情報、6.復興イベント告知情報など)をWEBサイトでリアルタイムに発信し、被災者と支援者を結びつけることを目指しており、本助成金は中核を担うスタッフの人件費、WEBサイトの運営費、組織の管理費等に使用する。 地震と津波の被害に加えて、放射能汚染という先の見えない災害に見舞われている地域においては、きめの細かな情報をリアルタイムで収集し発信することが復興に向けて重要な要素であるとの認識から、情報発信を推進するための組織基盤の強化を支援することとなった。情報の収集と発信を行う過程で形成されるネットワークを広げることにより、南相馬市における中間支援組織としての役割を築くように期待したい。 |