東日本大震災現地NPO応援基金[特定助成] 「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」第1回選考総評

第1回助成先一覧 | 選考総評 | 助成概要と選考理由
第1回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)

東日本大震災現地NPO応援基金〔特定助成〕
東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト 第1回選考総評

選考委員長 大橋 正明

[趣旨]
本助成プロジェクトは、日本たばこ産業株式会社からの寄付に基づいて、日本NPOセンターが現地NPO応援基金(※1)の特定助成として2013年8月に立ち上げられた。
東日本大震災の復興支援(被災者の生活再建等の支援)のため、東日本大震災により被災した岩手県・宮城県・福島県の復興・再生・活性化の一助となることを目指し、被災地の人々の多様な期待や希望に応えてきた民間非営利組織がより安定的に活動が行えるよう、支援・応援することを目的としている。募集は年間を通じて行い、4回の助成を実施する予定である。

(※1)現地NPO応援基金
東日本大震災現地NPO応援基金は2011年3月18日に日本NPOセンターが設置し、2013年10月までに救援活動に取り組む現地NPOを対象に27件(22団体)に助成を実施(第1期)してきた。2011年10月からは第2期として、「被災者の生活再建を支援する現地NPOの組織基盤強化」をテーマに公募を開始し、2013年10月まで6回計36件(団体)に助成を行っている。JT NPO応援プロジェクト等、一定以上の寄付をいただける場合に、寄付者と相談の上で特定テーマを定め、「特定助成」 として運用を行っている。

[応募状況と選考プロセス]
第1回助成(助成期間2013年10月1日~2014年9月30日)の公募は、プロジェクト立ち上げと同時の2013年8月1日に開始し、8月15日に締め切った。告知期間も含めて2週間という短い期間の募集になったが、52件の応募があり、岩手県、宮城県、福島県における民間非営利組織の活動の様子がうかがえる結果となった。応募はこの3県から万遍なくあり、2011年3月以降に設立した団体が多く(約6割)、法人格を持つ団体からの申請が多い(約8割)、という結果であった。
選考は、応募数が多いために事務局による予備審査を実施した。この予備審査で選出された事業20件を、選考委員による評価対象とし、選考委員会において本審査を実施した。その結果、助成に相応しいと思われる事業8件を選出した。選出された事業の実施団体には、事務局が訪問、インビューを行い、その結果を選考委員長に報告、最終的に委員長による決裁を行い、助成事業を5件決定した。助成額合計は2258万4千円である。

[選考における議論のポイント]
選考委員会における議論で挙がったのは主に3点である。
第1に、活動する地域の住民、つまり対象者のニーズをとらえているかという点だ。後述の活動地域の設定にも関わるが、実施する事業の対象者にとって、当該事業が「今本当に求められているものか」ということである。
第2に、地域における連携の有無だ。いかなる事業においても、地域住民を主体に地域ぐるみでコミュニティを再生、再構築していくためには、当該地域で活動する他組織、個人の参加、協力は不可欠であり、選考委員会においても地縁組織もしくは他の民間組織、行政との連携が存在するか、または事業の展開においてこれが期待できるかという点が、いくつかの事業の審査で重要な点として挙げられた。
第3に、実現可能性である。2011年3月の発災から2年半が経過した時点で応募してきた団体の多くが、既に取り組んでいる事業がある中で、本助成プロジェクトから助成を受け、事業を実施することが可能なのか、またこれらの事業と応募事業のバランスについて、活発な議論が行われた。
以上に加えて、例えば「宮城県」という都道府県単位ではなく、「宮城県気仙沼市」など活動地域を特定している事業は、実施のイメージと実現可能性の検討が可能だったため、評価が高くなった。対照的に、事業内容が興味深い内容であっても、地域の設定があいまいであるものについては、評価が相対的に低くなった。
さらに事業を実施する組織の規模についても、議論が交わされた。類似の事業を、規模が小さい組織と規模が大きい組織が実施する場合、同じ基準で審査することになることをどう考えるかが論点であった。今回の選考委員会においては、本助成プロジェクトでは団体の事業規模を要件としていないこと、また事業を実施する組織の規模ではなく、実施する事業がどのくらい求められているものか、つまりニーズの大きさを優先するという判断をすることで合意した。

今回の助成が、被災地で活躍する民間非営利組織の安定的な活動の実施に効果的に寄与することを願って止まない。

【選考委員】
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