第2回助成先一覧 | 選考総評 | 助成概要と選考理由
第2回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)
東日本大震災現地NPO応援基金〔特定助成〕
東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト 第2回選考総評
選考委員長 大橋 正明
[JT NPO応援プロジェクト概要]
「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」は、日本NPOセンターが2011年3月から行っている東日本大震災現地NPO応援基金に対して、日本たばこ産業株式会社から寄付を受け、「特定助成」として実施している事業である。2013年10月に第1回助成をスタートさせ、5団体の事業に対して助成を行っている。今回は2回目で2014年1月からの助成である。
[応募状況と選考プロセス]
第2回助成(助成期間2014年1月1日~2014年12月31日)は、2013年10月4日告知を開始、応募の受付期間は10月15日~10月31日であった。応募件数は第1回とほぼ同程度の53件、今回は岩手県、福島県がほぼ同数、宮城県からの応募が最も多いという結果となった。第2回助成は一般的な事業年度とは異なるタイミングの助成であり、第1回と比較しても応募数の伸びが不安点であったが、結果は第1回とほぼ同数である53件の応募をいただいた。53件の内、約9割が第1回助成応募団体とは異なる団体であったことから、2011年3月11日から2年半が経った現在、東北3県におけるコミュニティの再生に取り組む団体が多く存在し、活動を続けていることを改めて実感した限りである。
選考は、まず事務局による予備審査で応募要件等に基づいて選考委員会での選考対象20件を選出した。この20件について5名の選考委員が書面評価を行い、その結果を基に選考委員会による審議を実施した。選考委員会で助成にふさわしいと思われる7団体を選出し、事務局が団体を訪問し、活動状況や選考委員会からの確認点について聞き取りを行った。そのインタビュー結果を選考委員長に報告し、最終的に委員長による決裁を行い、助成事業5件を決定した。助成額合計は1922万円であった。
[選考における議論のポイント]
応募いただいた53件の事業内容も多岐にわたり、いずれも重要な取り組みであるが、JT NPO応援プロジェクトの5つ選考基準*1をベースに審議を行った。
以上の選考基準に照らし合わせて審査した結果、5つの選考基準について万遍なく高い評価であったというものは数少なかった。選考委員会における主要な議論の論点は、以下の点であった。
第1には、ニーズに対して、どのように応えるかが明確で、事業を行っていくイメージが実施計画に落とし込めているか否かの点である。震災から2年半が経過し、現場のニーズのありかが見えにくくなってきている。その点を明確に示し、取り組もうとしている事業が解決にどうつながるかが議論のポイントとなった。
この点については、前回同様に実施地域が限定的なものは実施のイメージと実現可能性の検討が可能だったため、評価が高くなった。対照的に、事業内容が興味深い内容であっても、地域の設定があいまいであるものについては、評価が相対的に低くなった。
第2は、ニーズの的確な把握と事業の実現可能性を支える根拠の一つとして、実施事業への人の参加の仕組みや他団体との連携・協力関係が具体的であるかという点である。これは、助成終了後の将来の展望をどのように考えられているかという点とも重なり合う点でもあり、活発な議論がなされた。その理由は、今回の応募事業の大半が新たな事業の申請ではなく、現在実施されている継続事業での申請であったためである。
助成のみに頼った事業展開でなく、共に事業を行う参加者と仕組みをつくることや、同様の目的を持つ他の団体や個人と協力・連携していく姿が描かれているか、という点が審査の上で重要な論点であった。このことから今後は、参加者や協力者と共に将来の展望が描くことがポイントとなってきているのではないかと考えられる。
東日本大震災から2年半が経過し、応援・支援が届きづらくなっているという声も聞かれる。今回の助成を通じて、対象者や協力者と共にコミュニティの再生・活性・復興していく取り組みが行われ、継続的な応援・支援につながる成果へ結びついていくことを期待したい。
【選考委員】
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