第3回助成先一覧 | 選考総評 | 助成概要と選考理由
第3回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)
事業名 |
東日本大震災文化芸術復興支援事業 希望の飛沫プロジェクト
「岩手県三陸沿岸児童・生徒参加型創作ミュージカル公演」
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団体名 |
特定非営利活動法人 劇団ゆう |
主な活動地域 |
岩手県大船渡市、洋野町 |
選考理由 |
劇団ゆうは、演劇を通じた次世代育成を目的として活動する団体である。震災後は行政と市民の協働のもとに、演劇を通じた文化芸術復興支援事業を展開している。助成事業は、岩手県洋野町と久慈市を中心とした沿岸北部と、大船渡市と陸前高田市を中心とした沿岸南部のそれぞれで児童・生徒を募集し、オリジナルミュージカルの公演を行うものである。公演に先立ち、北部と南部の児童・生徒は物語のそれぞれの場面の稽古を積み、公演前日の合宿稽古で一堂に会し、交流をはかりながら一つのミュージカルを仕上げていく。東日本大震災は東北沿岸部各地の過疎化を加速させている。沿岸部の子どもたちが演劇を通してふるさとを見つめ直し、多くの仲間たちと一緒に一つの演劇を仕上げていく作業の過程で、かけがえのないつながりを見出すことを期待したい。
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事業名 |
南三陸自然史学舎(しぜんのまなびや)構想実現のための2プロジェクト推進 |
団体名 |
特定非営利活動法人 海の自然史研究所 |
主な活動地域 |
宮城県本吉郡南三陸町 |
選考理由 |
海の自然史研究所は、沖縄に本拠地を置き、全国各地で海洋生物の研究や、自然環境教育プログラムの企画運営、自然環境資源を活用した地域振興事業に取り組んできた団体である。東日本大震災によって被災、壊滅した南三陸町自然環境活用センターの再生にむけたフォーラムの開催や、子ども自然史ワークショップの開催などに取り組んできた。助成事業では、南三陸町の自然史情報を伝え、「ネイチャーリテラシー」を育むミュージアムグッズの開発と販売、南三陸味わい開発室の運営や地域水産物を活かしたオリジナルメニューの開発、スタディーツアー、味わいキャンプに取り組む。助成事業を通じて、南三陸町の象徴的な地域資源である海と自然の活用によって地域が活性化していくこと、自然に学び、楽しみ、活かす「ネイチャーリテラシー」を育む場づくりにつながることに期待したい。
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事業名 |
私営公民館の運営と地域コミュニティの活性化事業 |
団体名 |
雄勝まちづくり協会 |
主な活動地域 |
宮城県石巻市雄勝町 |
選考理由 |
雄勝まちづくり協会は、震災後、雄勝町のまちづくりを考える協議体から生まれた団体である。津波により公民館が流されたことで、雄勝町住民は重要な交流の場のひとつを失っている状況にある。多くの寄付により設置された私営公民館であるオーリンクハウスでは、こうした交流の場を取り戻すべく、カルチャースクールや展示会、映画上映会、カフェの運営を行っている。助成事業では、2013年から開始されたオーリンクハウスの継続的な活動と、住民が自主的に行うサークル活動の立ち上げ支援を行う。高台移転や防潮堤の設置など、未だ町全体の方向性、町民一人一人の将来の見通しが定まりづらい状況の中で、助成事業を通じて住民が雄勝町に立ち寄るきっかけや町での役割を見出す機会となることに期待したい。
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事業名 |
HANA荘コミュニティ運営支援事業 |
団体名 |
特定非営利活動法人 石巻スポーツ振興サポートセンター |
主な活動地域 |
宮城県石巻市 |
選考理由 |
石巻スポーツ振興サポートセンターは、震災前から子どもたちや障害者のスポーツ活動に取り組んでおり、震災後は仮設住宅の自治会立ち上げサポート、仮設住宅でのサロン活動、ウォーキングの支援等を実施している。助成事業は、震災後、石巻市鹿妻地区に建設された地域住民の交流拠点HANA荘の運営である。HANA荘は、鹿妻地区の5つの町内会住民を対象として、外部の支援団体と町内会の協力により運営されてきた。震災から3年が経過し、支援団体の事業縮小に伴い、2014年1月より石巻スポーツ振興サポートセンターが運営を引き継ぐことになった。乳幼児と母親のためのサロン、小中学生の放課後の居場所と学習支援、スポーツ支援等に取り組む。また、財政面も含めた町内会等との連携をより一層深める。助成事業を通じて、HANA荘がさらに地域の多世代の人々のニーズに応えられるとともに、地域での共同運営体制にスムーズに移行していけることを期待したい。
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事業名 |
小高区が「新たな一歩」を踏み出すための世代間まちづくりワークショップ・農業交流事業 |
団体名 |
特定非営利活動法人 はらまち交流サポートセンター |
主な活動地域 |
福島県南相馬市小高区 |
選考理由 |
はらまち交流サポートセンターは、南相馬市および相双地域の活性化のため、観光・スポーツ・文化を通じて、市外との交流人口の拡大に取り組んできた団体である。震災後はふるさと復興会議、若手農業者会議を開催し、地域住民、移住者、ボランティアなど新たなコミュニティ形成に取り組み、また、原町区、鹿島区の被災農地を活用した菜の花プロジェクト、藍染めプロジェクトなど、被災農家、農業高校、農家民宿、大学生を中心に、仮設住宅高齢者やボランティアとの農業交流に取り組んできた。助成事業は、2016年4月に避難指示解除準備区域、居住制限区域の解除を目指すことを決定し、現在は居住が制限されている小高区で、市民がイニシアティブを取り、専門家の協力を得て、世代間まちづくりワークショップや農業交流事業に取り組みながら、将来的な帰還・復興に向けた住民の合意形成を図る。若い世代を中心に多世代がまちづくりの展望やふるさと復興を語り、交流することで、新たな一歩が踏み出せるよう期待したい。
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事業名 |
福島の幼児の「外遊びデビュー」サポート |
団体名 |
特定非営利活動法人 こどもの森ネットワーク |
主な活動地域 |
福島県福島市、郡山市、猪苗代町 |
選考理由 |
こどもの森ネットワークは、福島県内で子どもたちを対象とした森林環境教育などの実績を持つ団体である。助成事業は、東日本大震災に伴う福島第一原発原子力発電所の事故により、いまだ放射線量の高い傾向にある福島市、郡山市などの人口集中地域で、外遊びが制限されている幼児を対象に、線量の低い地域に出向いて屋外活動を実施しようとするものである。移動保育プログラムへの参加が4歳児以上の幼児に偏る中、3歳児未満の幼児を対象とした点が特長である。また、保育園や幼稚園を調査し、外遊びの支援が行き届いていない小規模園を対象とするなど、きめ細かい配慮が想定されている。震災から3年が経過しても、なお除染が期待通りに進まず、将来の見通しが見出せない中で、こうした民間による地道な支援活動が被災者の希望につながり、子どもたちの健康と健全な育成につながることを期待したい。
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事業名 |
障がい者施設へのリサイクル機器貸与による障がい者就労機会創出・国内資源循環促進事業 |
団体名 |
特定非営利活動法人 くるりんこ |
主な活動地域 |
福島県郡山市ほか |
選考理由 |
くるりんこは、震災により深刻化する地域課題に対して、地域資源を複合的に活用することによって解決を試みる団体である。
助成事業は、震災により就労の機会が減少している障がい者施設の問題と、地域資源が海外に輸出され、劣悪な環境下で再生資源とされている「公害輸出」の問題に着目した事業である。従来であれば海外に輸出される廃電線を福島県内の障がい者施設でリサイクル機器を使い、精銅原料として再生資源物とすることで、障がい者の就労機会の提供と地域資源の循環を促進する。障がい者施設の募集、廃電線の調達、廃電線を処理する際に使用するリサイクル機器の貸し出し、銅製品の生産、地元製造業への販売を通じて、事業のモデル化に取り組む。
助成事業が障がい者の就労機会の提供および持続的な地域資源の循環のモデルとなることを期待したい。
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