第3回助成先一覧 | 選考総評 | 助成概要と選考理由
第3回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)
東日本大震災現地NPO応援基金〔特定助成〕
東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト 第3回選考総評
選考委員長 大橋 正明
[JT NPO応援プロジェクト概要]
「東日本大震災復興支援 JT NPO応援プロジェクト」は、日本NPOセンターが2011年3月から行っている東日本大震災現地NPO応援基金に対して、日本たばこ産業株式会社から寄付を受け、「特定助成」として実施している事業である。2013年10月の第1回に5団体、2014年1月の第2回に5団体を助成した。今回は2014年4月助成開始の第3回である。
[応募状況と選考プロセス]
第3回助成(助成期間2014年4月1日~2015年3月31日)は、2013年11月より告知を開始、応募受付期間は1月6日~1月20日であった。応募件数は65団体で、第3回の助成期間が一般的な事業年度という事情から過去2回より応募数が伸びる結果となった。応募事業の活動地域別内訳は宮城県が最も多く、福島県、岩手県の順であり、団体の所在地も同じ順番であった。応募事業65件の内、過去2回の助成に応募したのは6団体のみで、92%が新規の応募団体であった。これらのことから、2011年3月11日から3年が経過した現在、東北3県におけるコミュニティの再生に取り組む民間非営利組織に、本助成プロジェクトが一定の周知を得たことを実感する応募結果となった。
選考プロセスは、まず事務局による予備審査で応募要件等に基づいて選考委員会において選考すべき30件を選出した。過去2回はいずれも20件であったが、今回は応募件数の増加を反映させた。続いてこの選考対象30件について5名の選考委員が書面評価を行い、その結果を基に選考委員会の場で審議を行い、助成にふさわしいと思われる9団体を選出した。選考委員会後、事務局スタッフが9団体を訪問し、活動状況や選考委員会からの確認点について詳細な聞き取りを行った。このインタビュー結果を選考委員長に報告し、最終的に委員長による決裁を行い、助成事業7件を決定した。助成額合計は2,760万円であった。
[選考における議論のポイント]
過去最多となる65件の応募は、事業内容も多岐にわたり、いずれも重要な取り組みであった。今回もJT NPO応援プロジェクトの5つ選考基準*1をベースに審議を行った。
5つの選考基準に照らし合わせて審査した結果、全ての選考基準について万遍なく高い評価であった事業は数少なかったが、審査委員の多くが支持する事業は比較的まとまりを見せた。選考委員会において、評価が高くなった事業の特徴および議論が起きた点は、主に以下の2点である。
第1に、発災から3年が経過したことで、幾つかの地域においては発災直後に活動していた団体から地域の団体への事業の引き継ぎが行われ始めており、こうした事業をどのように評価、応援していくのかという点である。評価については、引き継がれる事業を実施できる専門性や組織基盤を地域団体が持ち得ているかが検討され、これに値する場合には評価が高くなった。一方で外部支援団体からの地域団体への引き継ぎについては地域の状況なども踏まえて慎重に行われるべき等という意見が交わされた。
第2に、事業実施の背景となる地域のニーズの緊急性と具体性がどの程度であるかという点である。例えば、そのニーズの発生の経緯(震災前から存在しているのか、震災後生じたものなのか)、ニーズの主体(支援の対象者は誰なのか)、ニーズの規模(対象者はどのくらいいるのか)、ニーズの緊急性(今優先的に取り組む必要があるのか)が申請書から読み取れるかということである。これらの点が具体的かつ緊急性が高い事業については評価が高くなった。
東北3県では、住民の老齢化や発災後から続く生活状況の変化に疲労の蓄積が見られる。国・自治体からの支援策の方向性が定まらない中で、先行きの不透明さが増し、結果として地域課題が深化し複雑化している地域も多く存在する。
こうした困難な状況において、地域住民が直面するコミュニティの課題について、その構造を理解し、地域住民と共に協力しながら適切な対応を続けられるのは現地の民間非営利組織である。しかし、こうした活動への支援の手は少なくっており、事業継続が困難になっている団体も出てきている。本助成プロジェクトは、これらの民間非営利組織の事業が中長期的見通しをもった着実で継続的な事業となることを支援するものであり、今回の助成事業についてもその一助になることを強く願っている。
【選考委員】
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