現地NPO応援基金[特定助成]大和証券フェニックスジャパン・プログラムでは、資金支援のほか、新規助成対象団体を対象に、事務局主催の合同研修会を助成期間中に2回実施しています。第1回目(2013年11月27日 於:仙台)に引き続き、仙台にて5月12日(月)に第2回目の合同研修会を実施しました。新規助成対象団体の4団体、選考委員、そしてドナーである大和証券グループの責任者等、18名が参加しました。
現地NPO応援基金[特定助成]大和証券フェニックスジャパン・プログラムは、大和証券株式会社からの寄付により、現地NPOの組織基盤を強化するためにNPOが実施する人材育成の取り組みを応援するものです。合同研修会では、このプログラムの助成対象となった団体を対象に“人材育成によるNPOの組織基盤強化” に対する理解を深め、今後の活動の糧となる情報収集や交流の機会となるよう、レクチャーやワークショップを行います。
第2回目の合同研修会では、団体による育成事業の中間報告と、スーパーバイザー(団体における人材育成の責任者)と対象スタッフ(育成の対象となるスタッフ)に分かれてのグループワークを行いました。
4団体によるスタッフ育成の取り組み報告と目標設定(中間報告)
(助成対象団体)
- 一般社団法人 ふくしまかーちゃんの力ネットワーク(福島県福島市)
事業名:「福島農業の復興にむけた6次化人材育成プログラム
~コーディネート&財務マネジメント力育成事業~」 - 特定非営利活動法人 フェアトレード東北(宮城県石巻市)
事業名:「社会的弱者を支援する農業・ソーシャルワーク技術の向上」 - 一般社団法人 ボランティアステーションin気仙沼(宮城県気仙沼市)
事業名:「気仙沼市地元住民組織としての組織基盤強化のためのスタッフ育成」 - 特定非営利活動法人 遠野まごころネット(岩手県遠野市*活動現場は大槌町)
事業名:「大槌たすけあいセンターにおけるスタッフの地域復興へのセルフケア力の育成」
各団体から20分程度、育成対象スタッフからは、これまで取り組んだ育成事業の報告とそこでの悩みや課題、スーパーバイザーからは、スタッフを育成するために組織としてフォローしていることや課題、そして今後の取り組みについてお聞きしました。
各団体の報告後には質疑が行われ、最後に選考委員からのコメントをもらいました。
グループディスカッション
グループディスカッションでは、部屋を分かれ、スーパーバイザーは、「課題解決に向けた今後の育成プランづくり」、育成対象スタッフ は、「NPOスタッフとしていかに成長するか、今後に向けた目標設定」をテーマにディスカッションを行いました。
(ファシリテーター)
- スーパーバイザー担当:田尻佳史(日本NPOセンター 常務理事・事務局長)
- 育成対象スタッフ担当:吉田建治(日本NPOセンター 企画部門長)
スーパーバイザーのグループでは、育成対象スタッフに求める事を出し合い、そこからスタッフ育成に必要な4つの“力”(「技術力」、「個人力」、「関係力」、「運営力」)を導き出しました。また、これらの力を強化するために必要な取り組みをまとめました。
スタッフ自身が自信を持って活動に取り組むためには基本的、専門的な「技術力」が必要であり、加えてNPOスタッフとして自ら考えて活動に取り組む「個人力」が求められる。さらには団体内外をつなぐ、地域との連携を図るといった関係性をつくる「関係力」、最後に培った技術、能力、ネットワークを団体の組織運営に落とし込む「運営力」が必要であることが共有されました。
一方、育成対象スタッフは、自らの団体の紹介から始まり、この半年間で達成できたこと、できなかったこと、今後半年間の目標をそれぞれまとめる作業を行いました。
ここでは、事業計画の策定やファシリテーション能力の強化といった組織におけるマネジメント力のレベルが上がった、支援対象の高齢者や障害者と、だんだんコミュニケーションが取れるようになってきたといった自身のコミュニケーション力が向上したなどの成果が出てくる一方で、日々の業務に追われて研修時間が取れない、専門的なスキルの習得にまだまだ不安を感じているといった悩みも出されました。最後には、課題をもとに今後の目標について一人ひとり宣言文を掲げていただきました。
まとめと今後への期待
最後は、日本NPOセンター顧問、市民社会創造ファンド運営委員長の山岡義典より、総括が行われました。「NPOのスタッフ育成には、スタッフ個人としての育つ力、団体として育てる力があるかどうかが重要である。またスタッフと団体とが互いに良好な人間関係を持続できた時にスタッフが育つので、日ごろから物事を言える関係作りも必要。この助成プログラムでは、組織の人材育成力を高め、その中で人材が育つことを目標としており、今回の研修会も通じて、育つ力と育てる力を高められたら幸いである。」
現地NPOは組織基盤がまだまだ脆弱なところが多く、震災後に立ち上がった団体においては、なおさら日々の業務の傍ら人を育てていくことは容易ではありません。
この研修会を踏まえて、今後半年間の助成対象団体のフォローとともに、現地NPOの実情に沿った人材育成事業の支援のあり方を考えていきたいと思います。