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東日本大震災現地NPO応援基金[特定助成] 「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」は、東日本大震災により被災した地域の復興のために、民間非営利組織が行う草の根の日常生活の再建や地域コミュニティ・文化の再生活動等の「地域の絆」を繋ぐ活動を応援するプロジェクトとして、2015年度事業として第1期(第1回助成、第2回助成)を実施し、2016年度~2017年度事業として第2期(第3回助成、第4回助成、第5回助成)を実施しました。このたび、本プロジェクトの助成を受けた団体が今後の活動を進めるうえでのサポートのため、フォローアップ助成を実施することになりました。助成先は下記のとおりです。
プロジェクト名/団体名 | 所在地 | 助成額 (単位:万円) |
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被災地の未来を耕す「子どもと大人の学びあい」推進事業 特定非営利活動法人 未来図書館 |
岩手県 盛岡市 |
55 | |
内陸避難者による自助活動のサポート及び活動をサポートする地域人材育成事業 特定非営利活動法人 いなほ |
岩手県 滝沢市 |
100 | |
生きがい交流仲間づくり 奥州つばき絆の会 |
岩手県 奥州市 |
55 | |
釜石市箱崎半島部の漁業集落復興まちづくり事業 特定非営利活動法人 釜石東部漁協管内復興市民会議 |
岩手県 釜石市 |
85 | |
やってみっぺし読み聞かせinみんなの茶の間 特定非営利活動法人おはなしころりん |
岩手県 大船渡市 |
80 | |
末崎町の被災者・高齢者の生活環境改善支援 特定非営利活動法人居場所創造プロジェクト |
岩手県 大船渡市 |
100 | |
唐桑地域の協働教育「見える化」プロジェクト 一般社団法人まるオフィス |
宮城県 気仙沼市 |
80 | |
気仙沼の高校教育の魅力化事業 認定特定非営利活動法人 底上げ |
宮城県 気仙沼市 |
50 | |
農作物を作って生活を作る。みんなで元気になろう! 一般社団法人コミュニティスペースうみねこ |
宮城県 女川町 |
100 | |
石巻から発信・創る・つなげる『障がいある人のアート美術館』プロジェクト NPO石巻広域クリエイティブアートの会ペンギンズアート工房 |
宮城県 石巻市 |
100 | |
支え合いカーシェアの継続的サポートのための業務効率化事業 一般社団法人 日本カーシェアリング協会 |
宮城県 石巻市 |
80 | |
復興まちづくりにおける、男女の意識調査事業 特定非営利活動法人 石巻復興支援ネットワーク |
宮城県 石巻市 |
80 | |
高齢者、沿岸部よりの避難者が多く住む鶴ケ谷を、明るく元気にする交流事業 つるがや元気会 |
宮城県 仙台市 |
70 | |
地域みんなの居場所「まごころサロン」の拡張事業 特定非営利活動法人 まごころサービス国見センター |
福島県 国見町 |
88 | |
原発事故風化防止への記録・継承誌作成事業 認定特定非営利活動法人ふくしま30年プロジェクト |
福島県 福島市 |
100 | |
「暮らしの力」共生サポートプログラム (学生団体)福島大学災害ボランティアセンター |
福島県 福島市 |
80 | |
福島を巡る高校生国際交流サポート事業2019 特定非営利活動法人 ドリームサポート福島 |
福島県 福島市 |
80 | |
福島ひまわり里親プロジェクトWEBリニューアル 特定非営利活動法人 チームふくしま |
福島県 福島市 |
60 | |
市民交流型の食文化の継承と普及による農業再生 特定非営利活動法人 郡山農学校 |
福島県 郡山市 |
50 | |
障がい者と地域住民及び観光客の交流 農福商工連携着地交流型ワイナリー事業 認定特定非営利活動法人 みどりの杜福祉会いわきワイナリー |
福島県 いわき市 |
93 | |
豊間地区住民主体の復興活動 記録保存事業 ふるさと豊間復興協議会 |
福島県 いわき市 |
100 |
・助成件数:21件
・助成総額:1,686万円
・助成期間:2019年4月1日から2020年1月31日までの10か月
*フォローアップ助成は「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」の助成完了実績を持つ95団体のうち、現在も活動を継続している94団体を対象として、応募期間(2019年2月25日~3月1日)に申請のあった団体を選考して助成を決定したものである。
選考総評
選考委員長 萩原なつ子
[「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」フォローアップ助成の概要]
「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」は、東日本大震災により被災した地域の復興のために、岩手県・宮城県・福島県で活動する民間非営利組織が行う草の根の日常生活の再建や地域コミュニティ・文化の再生活動等の「地域の絆」を繋ぐ活動を応援するプロジェクトとして、2015年度事業として第1期(第1回助成、第2回助成)を実施し、2016年度~2017年度事業として第2期(第3回助成、第4回助成、第5回助成)を実施した。
助成実施にあたり、第1期については2014年に信用金庫が募集した「『しんきんの絆』復興応援定期積金」の総額の0.25%相当額、第2期については2015年に信用金庫が募集した「『しんきんの絆』復興応援定期積金Ⅱ」の総額の0.2%相当額を、信金中央金庫を通して日本NPOセンターの「東日本大震災現地NPO応援基金(特定助成)」へ寄付を行い、同基金の特定助成とした。
フォローアップ助成は、プロジェクトの残金(助成金の返金や経費残金)を、本プロジェクトの助成を受けた団体がこれまでの活動記録をまとめたり、地域住民の方々とともに今後の活動を進めたりするためのサポートを行うことで活用するものである。
[応募状況と選考プロセス]
フォローアップ助成の対象となる団体は、「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」の助成をうけて事業を実施した95団体のうち、現在も活動を継続している94団体である。2019年2月25日~3月1日の応募受付期間に32団体より応募があった。
応募団体の設立時期については、22団体が震災後(2011年3月11日以降)に設立された団体であった。法人格別に見ると、特定非営利活動法人が全体の6割を占め、以下任意団体、一般社団法人が続いた。助成希望金額では上限額に近い申請が目立った。さらに「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」のなかでも直近に助成をうけた団体からの申請が目立ち、フォローアップの必要性の高さがうかがえた。初期に助成を受けた団体からの申請は少なかったが、助成終了から3年が経過していることもあり、ある程度活動も安定している中で、ピンポイントの助成への必要性がそれほど高くないとすれば、喜ばしいことである。
応募のあった全案件について、応募要件・審査基準等に基づいて事務局である日本NPOセンターならびに信金中央金庫にて慎重な審査が行われたのち、選考委員長の決裁を得て、全21件の助成事業を決定した。助成額合計は1,686万円になった。
[審査における議論のポイント]
何をもって「フォローアップ」なのかについては、さまざまな捉え方があるが、本助成においては申請団体が被災地において継続した活動を行うために必要な取り組みが支援できるよう、柔軟かつ幅広い捉え方をした。
「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」では1団体あたりの助成金額の上限が500万円、事業期間は1年間という規模に対し、本助成では1団体あたりの助成金額の上限が100万円、助成期間も10か月間と異なる規模である。今回の助成規模に申請事業がマッチしているか、限られた金額、期間をどのように活用できるかが議論された。人件費の申請割合が高い事業も見受けられたが、助成金頼みの運営が感じられる内容については、運営課題を先送りするだけになってしまうのではないかという点が懸念されたのに対し、新たな取り組みを行うための人的投資と感じられる内容については前向きな議論がなされた。
被災地や被災者の生活再建における課題が細分化されてきているため、事業の受益者は誰なのか、支援を行う側と受ける側の関係性が固定化していないか、住民主体の復興支援になっているのかどうかといった点も活発に協議された。
東日本大震災から8年が過ぎ、風化が進む中で、必要な記録を保存しておくということが重要視され、記録集の作成やウエブサイトのリニューアルといった情報整備のような事業や、持続可能にむけた人材育成や支援者拡大など、団体の基盤整備に近い事業への申請や採択が多かったことは、今回の助成らしい特徴であった。
応募団体は全て本プロジェクトの助成実績がある団体であり、各団体の良さもわかるだけに審査は難航した。いくつかの団体については、助成内容を絞り込み、一部減額として助成金額を決定した。一部減額となった団体については、採択にあたり、減額の経緯を説明したうえで助成を受けるか辞退するかを判断していただいた。本助成を辞退した団体は無く、決裁内容にて助成を実施できることは何よりである。
持続可能な地域復興には、市民の視点、NPOの働きがより重要なものとなる。地域を元気にするために、本助成金が活かされることを期待している。
事業概要と選考理由
事業名 | 被災地の未来を耕す「子どもと大人の学びあい」推進事業 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 未来図書館 |
助成額 | 55万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は岩手県内の小中高生を対象にしたキャリア教育支援プログラム「未来パスポート」や、大学生と中高生のコミュニケーション育成プログラム「かだる」などに15年以上取り組んでいる。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第2回、第4回助成では、津波の被害が大きい沿岸地域の学校で、地域の大人の生き方や誇り、思いに子どもたちが触れ、地域のために何ができるかを子どもと大人がともに考えるための事業を実施してきた。 フォローアップ助成では、沿岸地域での取り組みをより多くの人に知ってもらい、経験を分かち合い、今後の取り組みにつなげるためのフォーラムを実施する。フォーラム開催によりこれまでの取り組みが整理され、新たなつながりが生まれることを期待する。 |
事業名 | 内陸避難者による自助活動のサポート及び活動をサポートする地域人材育成事業 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 いなほ |
助成額 | 100万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、2015年から岩手県内の内陸避難者を対象に、地域の中で生きがいを見つけ、自分らしい生活を送ることができるよう、交流や学びの場を提供し、孤立予防や生きがいづくりに取り組んでいる。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第5回助成では、沿岸地域に帰るきっかけを失い、内陸地域でも孤立しがちな住民が、沿岸地域とつながるためのバスツアーや、内陸地域の住民との交流会等を実施してきた。 フォローアップ助成では、内陸避難者の居場所や生きがいづくりを持続可能なものにするための、自助グループの運営支援や地域ボランティアの発掘、育成を行う。これまでの活動で培ってきた信頼関係やネットワークを活かして、地域内での支え合いが深まることを期待する。 |
事業名 | 生きがい交流仲間作り |
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団体名 | 奥州つばき絆の会 |
助成額 | 55万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、岩手県奥州市近辺に避難し、永住地を決めた被災者が、生涯の仲間づくりと心身の健康維持に取り組む当事者団体である。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第5回助成では、避難者が月に数回集まり、料理や大正琴、グランドゴルフ等を通じて心の交流を図る事業を実施した。 フォローアップ助成では、本団体の最大支援先NPOが解散した中で、これまで以上に自助が求められる状況下での持続可能な活動づくりに取り組む。困難な状況ではあるが、交流事業での参加率が低いとされてきた男性が中心となる事業や、交流会を持続可能とするための工夫等があり、当事者がエンパワメントされ、永住先で生きがいを見つけて暮らせるようになることを期待する。 |
事業名 | 釜石市箱崎半島部の漁業集落復興まちづくり事業 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 釜石東部漁協管内復興市民会議 |
助成額 | 85万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、釜石市箱崎半島部の漁業集落の住民自らが、安心安全なまちの復興をめざして、漁業の担い手育成や雇用の場づくりなど多様な団体や個人と連携した幅広い活動を行っている。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第3回、第5回助成では、漁業体験を通した担い手育成や交流人口の増加に取り組む「漁業の学舎」、地域の特産品開発、地域の伝承記録作成等を実施した。 フォローアップ助成では、これらの活動を継続して行うための拠点再整備を行う。地域の区画整理事業の遅れにより当初計画通りの移転が進まないことから仮設拠点の整備を余儀なくされることとなったが、拠点が整備されることで、事業の歩みを止めることなく、まちの復興に寄与することを期待する。 |
事業名 | やってみっぺし読み聞かせinみんなの茶の間 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 おはなしころりん |
助成額 | 80万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、2003年から大船渡市における読み聞かせや読書推進活動(地域の小学校等)を行っている。震災後、避難所での読み聞かせを依頼されたことにより「読み聞かせによる心の居場所づくり」に取り組み、「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第5回助成では、読み聞かせを軸とした交流活動による、地域住民の生きがいづくりや、新たな地域コミュニティづくりを実施した。 フォローアップ助成では、住民同士の交流会(お茶会)のマンネリ化を防ぎ、交流活動の活性化を図るとともに、外出機会の少ない高齢者が復興したまちに出てお出かけと交流を楽しむことで、住民の笑顔や元気を生み出すことにつなげていくための活動を行う。沿岸部の復興をみた人たちに前向きな気持ちが生まれることを期待する。 |
事業名 | 末崎町の被災者・高齢者の生活環境改善支援 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 居場所創造プロジェクト |
助成額 | 100万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、高台移転に伴い災害復興公営住宅や防災集団移転による住宅の建設が進む地域において、震災後に建てられた交流スペース「居場所ハウス」を活用して、朝市の開催やキッチンカーを使った軽食の提供、地域の祭り等の開催といったコミュニティ構築に取り組む、地域の高齢者主体の団体である。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第1回助成では、転居してきた高齢者を孤立させずに交流を促進するための取り組みを行った。 フォローアップ助成では「居場所ハウス」をコミュニティスペースとしてより魅力的にするための運営強化、事業のブラッシュアップに取り組む。転居者を新たな担い手とした、配食による高齢者の見守りや、送迎による外出機会の創出が、新たな交流につながることを期待する。 |
事業名 | 唐桑地域の協働教育「見える化」プロジェクト |
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団体名 | 一般社団法人まるオフィス |
助成額 | 80万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、気仙沼市唐桑地区での復旧活動をきっかけに地域内に移住した被災地内外の若者が、「地元からわくわくを」を理念に地域人材と事業をつなぐ取り組みを展開している団体である。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第3回助成では、地域の子ども達への漁業体験を通じて、次世代にその文化を伝えていくことに加え、一般参加者向けの体験型観光事業としての交流人口の増加をめざした。 フォローアップ助成では、地域に定着した中高生向け漁業体験プログラムを、地元住民や市内外の支援者にわかりやすく伝え、さらに応援してもらえるよう、印刷媒体・動画・ウエブの3種類を使った事業の可視化に取り組む。地域内からはボランティアが集い、地域外からは寄付が集まることで、地域ぐるみの次世代育成が継続的に行われる仕組みとなることを期待する。 |
事業名 | 気仙沼の高校教育の魅力化事業 |
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団体名 | 認定特定非営利活動法人 底上げ |
助成額 | 50万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、地域の高校生が主体的に課題に取り組む場を提供し、将来の地域の担い手である若者たちが震災後のまちづくりに参画していくことに取り組む団体である。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第5回助成では、高校生が自由に集まり、自主的な活動拠点となる居場所の提供、高校生と地元の大人の交流、地域課題に取り組み発表する場を持つことに加え、地元の高校を卒業した大学生との世代間交流事業を実施した。 フォローアップ助成では、寄付者を増やすためのツール作成や、寄付者同士が交流する機会、寄付者と若者が触れ合う機会などを通した、寄付者コミュニティの拡大に取り組む。支援を通して寄付者もエンパワーされ、地域での若者支援がより充実し、定着することを期待する。 |
事業名 | 農作物を作って生活を作る。みんなで元気になろう! |
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団体名 | 一般社団法人コミュニティスペースうみねこ |
助成額 | 100万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、漁業が中心の女川町にあって、農業を軸として多世代が主体的となる生業づくり、生きがいづくり、地域内外の支援者を巻き込んだ、新たなコミュニティづくりに取り組んでいる。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第4回助成では、いちじくの販路拡充や新たな商品化のためのブランディングを行った。 フォローアップ助成では、農作物のブランディング統一による販路拡大と、高台に幹線道路を作るために使えなくなった畑の代替え地での土地づくりに取り組む。農作物による事業収益が安定することで、地域に新たな雇用が生まれ、生きがいを得る住民が増えることを期待する。 |
事業名 | 石巻から発信・創る・つなげる『障がいある人のアート美術館』プロジェクト |
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団体名 | NPO石巻広域クリエイティブアートの会 ペンギンズアート工房 |
助成額 | 100万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、障がいのある人たちの芸術表現活動を支援するとともに、作品を発信し、社会に役立つ仕組みをつくることを目的としている。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第4回助成では、ギャラリー整備を行い、地域住民と障がいのある人たちが芸術作品を通して交流できる空間づくりに取り組んだ。 フォローアップ助成では、地域の病院等へのアート作品の貸し出し「ペンギンズアートホームステイ」や、市民向けのアート体験講ワークショップ、展覧会の実施に加えて、協力者や参加者からのアンケートを基にした冊子の作成を行い、取り組み成果を可視化する。障害のある人たちが芸術活動を通して地域住民の心を癒し、地域の一員としての役割ができることで生きがいにつながることを期待する。 |
事業名 | 支え合いカーシェアの継続的サポートのための業務効率化事業 |
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団体名 | 一般社団法人 日本カーシェアリング協会 |
助成額 | 80万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、住民が主体となってカーシェアリングを行うことで、震災後の新たな地域コミュニティの構築を支援している。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第3回助成では仮設住宅で実施していた「コミュニティ・カーシェアリング」の復興公営住宅での導入とノウハウ移転、第5回助成では防潮堤建設に伴う活動拠点の移転、整備を行った。 フォローアップ助成では「コミュニティ・カーシェアリング」の仕組みが他地域でも展開されるようになってきたこともふまえ、地域の方が運営しやすい活動にしていくための業務改善に取り組む。サポート業務が効率化され、住民共助の仕組みが必要とされる地域に広がることを期待する。 |
事業名 | 復興まちづくりにおける、男女の意識調査事業 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 石巻復興支援ネットワーク |
助成額 | 80万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、地域の女性たちが中心になって設立され、震災後の石巻圏域の女性たちの子育てや就労支援、仮設住宅や復興支援住宅でのコミュニティづくり、地域内外の交流促進など地域が元気になるための活動を行っている。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第2回、第4回助成では、カナダ発祥の子育て学習プログラム「ノーバディズパーフェクトプログラム(NP)の開催を通じた子育て支援事業に取り組んだ。 フォローアップ助成では、男女ともに子育てと仕事を両立できる暮らしやすい地域づくりのためには、男性へのアプローチが必要との意識から、子育て世代の男女の実態調査や意識調査を行う。家父長制など古い男女観も残る地域での取り組みだけに困難さも予測されるが、調査に基づいた具体性の高いアプローチにつながることを期待する。 |
事業名 | 高齢者、沿岸部よりの避難者が多く住む鶴ケ谷を、明るく元気にする交流事業 |
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団体名 | つるがや元気会 |
助成額 | 70万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、地域住民が主体となって設立され、高齢化が進んだ鶴ケ谷地区の住民が家に引きこもらず元気に活動するためのさまざまな交流プログラムを行っている。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第3回、第5回助成では、震災の被害をうけて家に閉じこもり気味になった高齢者がご近所づきあいに参加し、地域に友達付き合いをする人をつくり、増やすための交流事業に取り組んだ。 フォローアップ助成では、地域の中で仲良くなった住民同士による主体的な活動づくりや、地域の諸団体と連携した見守り活動など、新たな担い手や次の世代に活動をつなぐための活動に取り組む。住民の主体的な活動を通して、震災からの精神的な立ち直りにはずみがつくことを期待する。 |
事業名 | 地域みんなの居場所「まごころサロン」の拡張事業 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 まごころサービス国見センター |
助成額 | 88万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は「困った時は、お互いさま」を合言葉に、住み慣れた自宅や地域で、心を支え合う人々に囲まれ、誰もが安心して暮らせる街づくりを目指して設立された。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第3回助成では、地域の誰もが、気楽に利用できる居場所「まごころサロン」をたちあげ、被災者や高齢者、子どもたちなど多世代にわたる地域住民の交流に取り組んだ。 フォローアップ助成では、利用者が増え手狭になってきた「まごころサロン」のスペースを拡充整備する。「まごころサロン」が地域住民にとって、より過ごしやすく楽しめる場になり、地域になくてはならない場として幅広く活用されていくことを期待する。 |
事業名 | 原発事故風化防止への記録・継承誌作成事業 |
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団体名 | 認定特定非営利活動法人 ふくしま30年プロジェクト |
助成額 | 100万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、東日本大震災により発生した東京電力福島第1原子力発電所事故の影響に危機感を持つ市民が集まり、「ふくしまで暮らす」ことに寄り添うための活動を行っている。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第3回、第5回助成では、住民主体で行う放射能測定活動や情報交換会、交流会や研修会、対話の会など、さまざまな手法で市民の思いを伝えあう活動に取り組んだ。 フォローアップ助成では、団体がこれまで行ってきた放射能測定活動や、住民の証言記録を取りまとめて冊子とする。一人ひとりの市民が事故後の生活で何を大切にしてきたかを記録として残すことが、市民による原発事故の風化を防ぎ、教訓を記録・継承するための貴重な一歩となることを期待する。 |
事業名 | 「暮らしの力」共生サポートプログラム |
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団体名 | (学生団体)福島大学災害ボランティアセンター |
助成額 | 80万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、被災者のさまざまな必要に応えて継続的な支援を行うために設立された学生団体であり、福島大学を中心に約40の大学の学生が参加している。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第2回、第5回助成では、津波被災地域での片づけ作業、農地再生活動、仮設住宅でのコミュニティ形成支援、被災した子どもたちへの学習支援等、被災者に寄り添った多岐にわたる支援活動に取り組んだ。 フォローアップ助成では、復興公営住宅や帰還先でのコミュニティづくりや、避難指示解除地域の放置家屋の復旧、保全活動に取り組む。学生と住民の交流を通して生活にメリハリがでて、生きる希望につながることや、避難指示解除地域の復旧活動を通して、住民の心に寄り添うこと、これらの活動を通して学生たちの成長につながることを期待する。 |
事業名 | 福島を巡る高校生国際交流サポート事業2019 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 ドリームサポート福島 |
助成額 | 80万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、さまざまな地域資源と連携した地域・まちづくりへの支援や国際交流活動の支援を通して、福島の地域活性化に取り組んでいる。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第5回助成では、海外の高校生と福島県、東京都の高校生が交流を通して放射線の現状や食の安全性について学び、発信する取り組みのサポート事業を実施した。 フォローアップ助成では、福島県内でより多くの高校生が事業に参加し、海外の高校生を含めた交流活動を通して、地域のことをより深く理解し、発信するための活動に取り組む。参加者はもとより、参加者を受け入れた地域の人たちも、交流をきっかけにして元気になることを期待する。 |
事業名 | 福島ひまわり里親プロジェクトWEBリニューアル |
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団体名 | 特定非営利活動法人 チームふくしま |
助成額 | 60万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、ひまわりを全国各地で「里親」として育て、その種を福島で咲かせて全国と福島の絆を深める「福島ひまわり里親プロジェクト」を行っている。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第2回助成では、全国の協力者が福島に集い、直接交流を深める場「ひまわり甲子園」など、顔の見える関係作りを通した震災伝承を実施した。 フォローアップ助成では、「福島ひまわり里親プロジェクト」のウエブサイトをリニューアルしてこれまでの活動記録を整理する。蓄積された情報を読みやすくまとめることで、震災伝承活動としての取り組みが整理されるだけではなく、新たな協力者を増やすきっかけにつながることを期待する。 |
事業名 | 市民交流型の食文化の継承と普及による農業再生 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 郡山農学校 |
助成額 | 50万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、郡山ブランド野菜の生産や販売を通して、農作物の生産者あるいは消費者として多くの市民が地域の農業や食文化に対する理解を深めるための事業を実施している。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第3回助成では、市民参加型農業を実践するための農地整備・拡充を行い、郡山市に避難、移住してきた人も含めた多くの市民が農業に親しむための取り組みを行った。 フォローアップ助成では、郡山市民と双葉郡からの避難者に対する食に関するアンケートや食を考えるイベントを実施し、失われがちな伝統食文化をまとめ、地元野菜を使った食文化の継承や普及につなげるための活動に取り組む。郡山の伝統野菜を通した食文化の継承に加えて、郡山に住む住民同士の相互理解や交流が深まることを期待する。 |
事業名 | 障がい者と地域住民及び観光客の交流 農福商工連携着地交流型ワイナリー事業 |
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団体名 | 認定特定非営利活動法人 みどりの杜福祉会いわきワイナリー |
助成額 | 93万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、障がい者が生き生きと働く場の創出を目指して、耕作放棄地を利用してワイン用のブドウ栽培を行い、2015年からはワイナリーの運営も始めた。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第5回助成では、ワイナリー内にワインショップを建設して障がい者の働く場をひろげ、消費者との交流の場とするための環境整備に取り組んだ。 フォローアップ助成では、ワイナリーにぶどう棚テラスを整備する。棚にぶどうが実るまでにはある程度の年月が必要になるが、木陰ができるころには多くの方の憩いの場となることを期待する。 |
事業名 | 豊間地区住民主体の復興活動 記録保存事業 |
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団体名 | ふるさと豊間復興協議会 |
助成額 | 100万円 |
事業概要と選考理由 | 本団体は、豊間区の復興を住民の立場で考え、住民主体のコミュニティ再生に取り組んでいる。「『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」第5回助成では、区画整理後の未利用となる宅地に子育て世帯が定住することを目標とした、子育て支援を軸としたコミュニティ再構築事業を実施した。 フォローアップ助成では、住民主体の復興活動を振り返り、記録として保存するための保管資料の整理や記録、関係者へのインタビューなどに取り組む。住民主体の復興活動を整理し、記録をまとめ、関係者に配布していくことが、復興に努めてきた地域住民を力づけ、さらに他の被災地へのエールとなり、支援者への感謝にもにつながることを期待する。 |