現地NPO応援基金[特定助成]大和証券フェニックスジャパン・プログラムでは、助成金による資金支援のほか、事務局主催のフォローアップとして合同研修会を実施しています(助成期間中に2回)。10月からの助成がスタートして間もない10月18日、仙台で助成金の贈呈式と第1回の研修会を実施しました。助成対象の7団体、選考委員長、ドナーである大和証券グループ担当者等14名が参加しました。
現地NPO応援基金[特定助成]大和証券フェニックスジャパン・プログラムは、大和証券株式会社からの寄付により、被災地域の現地NPOの組織基盤を強化するためにNPOが実施する「人材育成」の取り組みを応援するものです。
2019年助成の第1回の合同研修会は、育成事業のスタート時点にあたり、育成対象となるスタッフと、育成責任者(スーパーバイザー/SV)が、それぞれの育成計画の目的と互いの役割を理解すること、そして他の助成対象団体との交流を目的として実施しています。
プログラムを開始して8年目、今年もドナーである大和証券グループ本社と大和証券仙台支店のご厚意により贈呈式が行われました。仙台支店の小林武彦支店長、日本NPOセンター田尻、本プログラムの須田選考委員長の挨拶のあと、全7団体へ贈呈書が授与されました。
その後は場所を移して、1年間の助成プログラムのオリエンテーションを含む合同研修会を実施しました。
贈呈式の様子(大和証券仙台支店にて)
1.参加7団体による育成計画の発表
はじめに、この1年間の助成プログラムを実施するにあたり、今回、育成の対象となるスタッフ(育成対象スタッフ)から団体の活動紹介、今回の助成によって行う育成計画についての発表があり、スーパーバイザーからはコメントをいただきました。発表後には他の参加団体からの質疑応答を行いました。
(助成対象団体)
【新規助成】(5団体)
●特定非営利活動法人TEDIC(宮城県石巻市)
計画名:子ども・若者支援事業マネージャー養成プロジェクト
●特定非営利活動法人みんなのひろば(福島県伊達市)
計画名:みんなのひろば事務局整備プロジェクト2019
●特定非営利活動法人ふくしまNPOネットワークセンター(福島県福島市)
計画名:復興連携の核となるスタッフの育成計画
●特定非営利活動法人チームふくしま(福島県福島市)
計画名:福祉雇用、防災教育、観光促進支援事業継続のための人材育成
●特定非営利活動法人いいざかサポーターズクラブ(福島県福島市)
計画名:プログラム強化と総合マネジメントを担える人材育成計画
【継続助成】(2団体)
●特定非営利活動法人にじいろクレヨン(宮城県石巻市)
計画名:にじいろクレヨン事務局体制強化計画(2)
●認定特定非営特定非営利活動法人ホールアース研究所(ホールアース自然学校 福島校)
(福島県郡山市)
計画名:人と自然のつながりを再構築し、地域に芽生えた思いを体現・事業化できる組織づくりのための経営人材の育成(2)
2.1年間の目標確認と意見交換
次に、育成対象スタッフとスーパーバイザーで部屋を分かれてワークショップを行いました。育成対象スタッフは、日本NPOセンター・山本の進行のもと、これから助成が始まるにあたり1年間の育成目標を改めて確認するとともに何から取り掛かるのか、優先順位をつけていただきました。
スーパーバイザーの部屋では、NPOにおける人材育成についての意見交換が行われました。具体的には、スーパーバイザーの意味とは何か、主体的に動く人を育てるにはどうすべきか、そもそもグラスルーツのNPOの組織論は無いのではないか、など。団体の組織形態、事業規模、代表やスタッフのキャリアに対する考え方によって多様な様相をもつNPOであるからこその難しさが垣間見えました。
3.まとめ
研修の最後に、スーパーバイザーとスタッフが揃い、改めて1年間の育成計画を確認し合いました。まとめとして、日本NPOセンター・田尻からコメントをしました。
組織の規模や悩みも団体ごとに違うので、それぞれ工夫をしてほしい。スーパーバイザーは、スタッフにアドバイスをするときに指示ではなく、複数の選択肢から選んでもらうということをしてほしい。そこから主体性も出てくる。3カ月の育成レポートのときにでも思い出してほしい。
以上をもって、研修はお開きとなりました。
4.さいごに
この助成プログラムが始まった当初、震災後ににわかに立ち上がったNPOの人材育成は、目の前の被災者に対してより良い支援ができるようになるという、ノウハウや知識の向上を目的とした内容が多かったように思います。近年の動きとしては、これからの地域や組織に対して主体的に考え動く、NPOの顔になるような人材の育成に重きがおかれるようになりました。
今回の研修では、助成期間を通じてコミュニケーションを密にするという団体が多くみられました。NPOの活動にはミッションが主軸にありますが、団体を構成するのはそこで働く人です。スタッフの主体性を高めるためには、それぞれの考え方やライフスタイルを踏まえた対話の機会が必要です。そのためコミュニケーションを重要視する団体が増えたのではないでしょうか。
助成対象の皆さんには、合同研修会や育成レポートといった機会をチャンスとして、この助成期間を活用いただけたらと思います。助成事務局では、1年間のスタッフ育成状況を見守りながら必要なフォローを考えていきたいと思います。
(記録作成:市民社会創造ファンド 山田)