~ シニア人材がセカンドステージとして「社会貢献事業や非営利法人の活動に参画・活躍」することへの歓迎度は8割と高いが、受け入れには課題あり ~
発信:認定特定非営利活動法人日本NPOセンター
認定特定非営利活動法人日本NPOセンター(以下、日本NPOセンター)は、2021年5~6月に、非営利団体(以下、NPO)のシニア人材受け入れの現状と今後のニーズについて全国調査を実施しました。
人生100年時代といわれ、高齢者雇用安定法の改正や働き方改革などにより、これからのシニアの活躍が注目されています。今回の調査で、さまざまな経験や知見をもつシニア人材※が、どのように活躍しているのか、また、今後期待されることや課題があきらかになりました。
※シニア人材:セカンドステージとして、社会貢献事業や非営利法人の活動に参画・活躍を希望する、民間企業、行政などの外部組織で長年働いてきた、さまざまな経験・知見をもつ60歳前後(定年直前・直後)の方々のこと。
【調査目的・結果の活用】
私たち日本NPOセンターは「人材交流プログラム」と題して、民間企業や行政などのセカンドステージを迎えるシニア世代で、社会課題の解決に向けて「自分も貢献したい」と思われる方々に「参画・活躍の場の提供」に繋がる新しい仕組みの創出を構想しています。
本調査結果により、
非営利団体における外部組織の人材※の受け入れ実態 および 今後の「シニア人材」の受け入れ(参画・活躍)の可能性を把握し、非営利セクターのみならず、企業セクターや行政セクター等とも共有して、「新たな仕組づくり」に活かします。
※外部組織の人材:「民間企業」「行政」、あるいは左記以外の「他の組織」で、「過去に働いてきた方(退職者)や転職などをされた方」、あるいは、それらの組織の「現役の社員や職員(副職や出向など)」のこと。年齢は問いません。
【調査内容】
(1)「現在」の「外部組織の人材」の受け入れ実態
(2)「今後」の「シニア人材」の受け入れ意向・要望
(3) フェイスシート
【調査時期・方法】
2021年5月12日(水) ~ 6月1日(火)までの3週間
オンライン自記式
【調査対象者】
全国の非営利法人※の団体代表者、理事、事務局長等(団体運営を担っている立場の方)
※非営利法人:特定非営利活動法人、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人
【回答数】
・送付数:8,982団体(日本NPOセンターが保有する非営利法人の名簿により送付)
・回答数:865団体
・回答率:9.6%
・アンケートへのアクセス数:2,030団体
・アクセス率: 22.6%
・アクセスした団体の回答率 42.6%
【調査結果の概要】
1.「外部組織の人材」の立場や働き方は幅広くさまざま
現在受け入れている「外部組織の人材」の立場(ポジション)は、ボランティアだけでなく、約4割が正職員、約5割が嘱託や契約職員、アルバイトとして受け入れられており、その勤務形態は週5日のフルタイムから業務内容に応じた日数・時間での勤務となっていることがわかった。
現在、受け入れている「外部組織の人材」の「立場(ポジション)」N=440 複数回答
現在、受け入れている「外部組織の人材」の「勤務形態」N=440 複数選択
2.自組織のニーズに合う人材を見定めている
現在、受け入れている「外部組織の人材の受け入れのきっかけ」は、職員募集に応募してきたが約4割と最も多いが、関係ある民間企業や行政などの人を自団体側から誘ったが約3割、他の組織・団体の友人・知人から紹介されたが約2割で、知っている人を受け入れている(勧誘・紹介)場合も多い。こうしたことから、自組織のニーズに合う人材を見定めていると思われる。
現在、受け入れている「外部組織の人材」の「受け入れのきっかけ」N=440 複数選択
3.シニア人材を歓迎する割合は約8割
シニア人材が、セカンドステージとして「社会貢献事業や非営利法人の活動に参画・活躍」することについて、「歓迎する約6割+やや歓迎する約2割」で、合計で約8割と高い割合になっており、期待が高いことがうかがえる。
シニア人材が、セカンドステージとして
「社会貢献事業や非営利法人の活動に参画・活躍」することを歓迎する割合 N=865
4.実際に受け入れるには解決すべき課題ありと認識
今後、実際に自分の団体の活動を支える人材としての「シニア人材受け入れ意向」は、「ぜひ+やや受け入れたい」の合計が約5割であるが、「まったく+あまり受け入れたいと思わない」が約2割であった。また、「やや受け入れたい 約2割+どちらとも言えない 約4割」が合計約6割。下記6.自由意見から推察すると「受け入れるには課題がある」と認識していると思われる。
今後、自団体の活動を支える人材としての「シニア人材受け入れ意向」 N=865
5.シニア人材に求める人物像・資質は、共感とコミュニケーション
また、今後、シニア人材に求める「人物像・資質」としては、団体の活動に参加するための基本となる「団体のビジョンに共感する人」が約8割である。次に「コミュニケーション能力に長けている人」が約6割で、外部組織出身かつシニアの人が、これまでの出身と異なる領域で、世代も異なる非営利団体の職員とスムーズなコミュニケーションを取り、ミッション達成に向けて活躍できるかどうか、課題を感じている団体が多いことがうかがわれる。
今後、シニア人材に求める「人物像・資質」N=720 ※ 複数回答
※「ぜひ受け入れたい」+「やや受け入れたい」+「どちらとも言えない」の回答者
6.自由意見から見える各団体の「視点」(期待と懸念・不安)
N=865 自由意見より抜粋
自由意見を要素別に整理
<上図の詳細>
【今後について】
調査によって、シニア人材への高いニーズがあることがわかったと同時に、「外部組織の人材」の参画・活躍には、事前に課題の現場を知ることや両者間での意見交換等のコミュニケーションによる相互理解等の助走期間が必要であることが自由意見から読み取れました。
今後、私たち日本NPOセンターは、これらの調査結果を「人材交流プログラム」で行う「シニア人材」の受け入れ(参画・活躍)の「新たな仕組みづくり」に活かしていきたいと思っております。ご協力いただきました非営利法人の皆さまに心より感謝申し上げます。
調査の詳細については下記ボタンからダウンロードできます。
【本件に関するお問い合わせ】
認定特定非営利活動法人日本NPOセンター
担当:本田・上田
Mail:jncenter[]jnpoc.ne.jp (注)左記の[]を@に変えて送信ください。