日本NPOセンターは、事業協力をしている米国Give2Asiaが実施したアジア15カ国・地域を対象にした寄付に関する調査研究について協力し、このたび、その報告書である『Unlocking Cross-border Philanthropy in Asia』の日本語抄訳版である『アジアにおける国の垣根を超えたフィランソロピーの実現に向けて~寄付者の関心とインフラの整備状況に関する評価』を公表いたしました。
本調査は、アジアにいる多くの民間の資金提供者がアジアの直面する差し迫った社会問題の解決に取り組み、変化をもたらすために自国外にも目を向けていることを踏まえ、アジア内での国を越えた寄付(クロスボーダー・ギビング)の実現可能性について、障壁と機会の面から調査研究を行ったものです。
本調査研究は、大きくわけて次の2つの問いに答えています。
- アジアの寄付者や慈善事業のために、国際寄付の基盤(インフラ)を改善する必要があるのか。
- あるとすれば、現在、どの国・地域や組織・機関がその基盤を構築する準備が整っているのか。
日本語抄訳版では、エグゼクティブサマリー(概要)と日本の基盤整備状況を抜き出して翻訳していますが、調査では以下のことが報告されています。
- アジアにおける国を越えた国外寄付の実現可能性は、国・地域ごとの国外寄付に対する法的規制やインセンティブ、支援基盤の準備状況によって大きく異なるが、日本を含むいくつかの国・地域では、国外寄付の準備が整っている。
- 信頼の欠如は、国外寄付を行う上で大きな障害となる。海外のNPOを推薦し、関係を構築するための信頼できるネットワークがなければ、多くの寄付者は自国での寄付を維持することを望む。そのため、信頼できる関係構築が、国境を越えた寄付を促進する鍵となる。
- 複数の全国規模の財団や中間支援組織が、国外寄付を後押しするために必要となる基盤整備に関心を持っている。
- 日本は、アジアの中で国外向け寄付、法規制、基盤のそれぞれの指数において高スコアであり、国外寄付に関する諸条件が一定程度整っていると評価できる。
- 日本の寄付者、特に企業の間では、新型コロナウイルスに対応したグローバルな取り組みへの支援に高い意欲が見受けられ、コロナから回復するにつれ、日本の寄付者と国際社会をつなぐ支援基盤は、この機運を維持することで、日本からの国外への寄付拡大に役立つと思われる。
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