現地NPO応援基金[特定助成]大和証券フェニックスジャパン・プログラムは、大和証券株式会社からの寄付により、現地NPOの組織基盤を強化するためにNPOが実施する「人材育成」の取り組みを応援するものです。
このプログラムでは、助成による資金支援のほか、助成開始直後と半年の時点で「合同研修会」を実施し、助成対象団体で互いに育成事業について報告し交流する機会を設けています。
今回は、2020年10月からの助成開始にともない第1回の合同研修をオンラインで開催しました。助成対象団体4団体と選考委員を含み17名が参加しました。
第1回合同研修会オンライン(ZOOM)
1.参加4団体による育成計画の発表
はじめに、この1年間の助成プログラムを実施するにあたり、今回、育成の対象となるスタッフ(育成対象スタッフ)から団体の活動紹介、今回の助成によって行う育成計画についての発表があり、スーパーバイザーからはコメントをいただきました。発表後には他の参加団体からの質疑応答を行いました。
(助成対象団体)
【継続助成】(4団体)
●特定非営利活動法人TEDIC(宮城県石巻市)
計画名:子ども・若者支援事業マネージャー養成プロジェクト Vol.2
●特定非営利活動法人みんなのひろば(福島県伊達市)
計画名:みんなのひろば事務局整備プロジェクト2020
●認定特定非営利活動法人ふくしまNPOネットワークセンター(福島県福島市)
計画名:復興連携の核となるスタッフの育成計画
●特定非営利活動法人チームふくしま(福島県福島市)
計画名:震災から生まれた物語の伝承・伝達するためのための人材育成事業
2.目標確認と意見交換(ブレークアウトセッション)
次に、育成対象スタッフとスーパーバイザーとに分かれて、オンラインならではのブレークアウトセッションを行いました。
育成対象スタッフのセッションでは、日本NPOセンター・渡辺の進行のもと、育成事業をへて1年後になっていたい姿はどのようなものかについて共有しました。その中では、自らの言葉で事業について語りたい、他の団体の活動も参考にしたいという意気込みが語られました。
スーパーバイザーのセッションでは、NPOにおける人材育成についての意見交換が行われました。人材育成にマニュアルが必要なのか、マニュアル化できるものとできないものがあるのではないか。そもそもNPOに人材育成は必要なのかなど、NPOの組織の特徴や在り方から考え直す時間となりました。
3.総括(須田選考委員長)
最後に選考委員長の須田木綿子さんから総括のコメントを頂きました。
-楽しい時間をありがとうございました。プログラムの意義として、「外にふれることができたことは良かった」という言葉が印象に残っている。30代のときにアメリカで最悪の条件下のNPOで業務に追われていたが、1日5分だけ5年後、10年後のことを考えろと言われた。1日の終わりに5分自分のことを考える時間を持つようにしてもらいたい。スーパーバイザーのセッションでは、自分の団体だけで人材育成をするのはどうかという話が出ていた。自団体とは全く異なる団体と会って話すようなリトリートがあると良いのではないか。
また、言語化できること出来ないこと、複数の法人格を整理するという話があった。そういったことを含めてこの助成事業として何らかのアウトプットが出ても良いと思っている。経験や知恵は共有されたい。
4.さいごに
今回は助成プログラム最終年度ということで、参加者は継続助成を受けた団体の皆さんのみ、短いながらじっくりと深く話し合う時間となりました。既にお互いの事業や登場人物についても知っているからこそ、人材育成の段階や視点の違いがよく見えたように思います。話の中でも出てきましたが、NPOの人材育成においてマニュアル化できることとできないこと、組織の違いによって人を育てる意味が変わってくることなどなど。回を重ねるごとにプログラムとして、NPOの人材育成に対する見識が増えて積み重なっていくことを実感しています。
この研修では、人材育成に取り組み、悩んでいる渦中の団体による生の声や考えが蓄積されています。助成が終わっても、この蓄積が何らかの形で知恵として残るよう考えていきたいと思います。
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(記録作成:市民社会創造ファンド 山田)