「いいね!」に惑わされない
 NPOのためのFacebookセミナー

9月5日に開催されたNPO/NGOのためのFacebook活用セミナー。昨年12月に続き、日本NPOセンターとFacebook Japan本との共催イベントです。応援してくれる人を増やすために、Facebookを使って広報に力を入れたい!というNPOも多いと思います。ただ、何から始めれば分からなかったり、スキルをブラッシュアップしたいという人も多いのではないでしょうか?今回は上級者向け、入門編の2部構成で開催しました。

実は非営利セクターを応援しているSNSカンパニーがけっこう多いって、知ってました?NPO向けのサポートツールが用意されていたり、今回のように無料でハウツーを伝授するイベントを開催したり。広報では猫の手も借りたいNPO、これを活用しない手はないですね。

参加者は、SNSを活用しながら人権や環境保護、生活困窮者の自立支援のNPOなど、さまざまな分野で活躍しているNPOの約80名。それぞれのミッション達成のため、もっと効果的にFacebookを使いこなそうと意気込む意欲的な皆さんです。FacebookからはNPOの応援に熱心なダンさんと青木さんによるレクチャーに加え、参加者の団体のページチェックもあり、活発なQ&Aが繰り広げられました。

では気になるセミナーの様子を少しご紹介しましょう。

■ 「いいね!」は目的ではない

広報活動は、目の前の作業を一生懸命進めていくうちに、一番の目的は何だったっけ?が抜け落ちがち。何を目的にこのページをつくっているのか、何のためにこの内容を投稿するのかを忘れないようにするのは、当たり前のようでなかなかむずかしそうです。
NPOがFacebookを使う時に多い目的は、認知度を高める/フォロワーのアクションを促す/寄付を集める、の3つに集約されるそう。
「この投稿の本来の目的は何だったっけ?そのために一番有効な機能や使い方は?」と立ち止まって考えることが大切のようです。気を付けたいのは、「いいね!」やコメントがたくさんついても(それはそれでいいけれど)、目的が達成されるわけではないということ。

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例えば、ボランティア募集の投稿に「いいね!」がたくさんついても、全然応募がなければ、目的に対する手段を読み誤っていたのかもしれません。本来の目的に照らして戦略を立て、適切な機能を十分活用する。そして、誰が対象なのかを明確にする。これをじっくり考えるのが、実は一番の近道なのです。

こうしたことは、考えてみればNPOが事業計画を立てる時と同じ道すじですね。ただ、SNSはまだまだ知らない役立つ機能や活用方法がたくさんあるので、こうした機会を利用したり詳しい人に学んだりしながら、自身で試していくことが効果的な広報を展開していく秘訣かもしれません。

■ なるほどポイント

ここでは全部を紹介しきれませんが、青木さんやダンさんの指摘があったなるほどポイントいくつか紹介します。ぜひ広報の際の参考にしてみてくださいね。

・共感してほしい人たちの視点に立って内容を考える
・ニュース性、ユーモア、興味が生まれるような内容を織り込む
・自分たちの個性やイメージを確立し、真摯さや人間としての体温を伝える
・画像や動画などは、堅苦しくない魅力的なビジュアルを使う
・定期的な投稿が大切。最初は週に2~3回、慣れてきたら1日1回にしてみる
・見る人のこころに訴えたいことは簡潔にヘッドラインで示す
・フォロワーとのコミュニケーションは大切。メッセージにはできるだけ返信する
・投稿を見た人の数、リンクをクリックした人の数、シェア数などを見て作戦を点検する
・寄付をお願いする時は、テーマ、金額の提案、最終目標をしっかり示す。きちんと結果の報告も

■ 90%以上が、モバイルで見ている

青木さんによれば、Facebookのユーザーの90%以上がスマホなどのモバイルを通して見ているそう。ふだんデスクトップでFacebookの作業をする場合が多いかもしれませんが、スマホとデスクトップでは見え方が違ってきます。このことを念頭に置くと視点がかなり変わってくるかもしれません。

また実践に役立つよう、今回は参加した皆さんの団体のFacebook広告を実例として映し出し、グッドポイントと要改善ポイントを青木さんとダンさんがズバッとやさしくアドバイス。

例えば、早いスピードで流し読みされるモバイルのニュースフィードでたくさんの情報を詰め込み過ぎたために、文字数オーバーで一番伝えたい肝心のメッセージが見えていなかったという落とし穴。せっかく魅力的な写真と文章で惹きつけるのに、一番の目的だったリンク誘導がかすんでいる状態・・・こうした「しまった!」に対してプロのお二人から効果的な処方箋が解説されました。

■ Ship Love

Facebookのミッションは、「コミュニティづくりを応援し、人と人とが身近になる世界を実現する」。単につなぐというところから、同じ意識をもってつながり、ポジティブに物事を前に進めるコミュニティづくりをめざしているとのこと。現在の世界情勢を見て、このミッションを掲げたそうです。

今回のセミナー会場はFacebook Japan本社でしたが、会議室の壁にもオフィスの壁にも、いたるところにポスターが。掲げてあるのはシンプルなイラストと文字です。会社が大事にしている価値観をポスターにして貼りまくるのが組織文化だとか。そのひとつが「Ship Love」。
代表取締役の長谷川さんによれば、「Ship Products」じゃなくて、「Ship Love」が組織の大切にするところだそうです。

セミナーの最後にはこんな心強いコメントをいただきました。
「社会へのポジティブな貢献、社内における人と人との関係、そしてユーザーへの姿勢においてLoveを根底に置く精神は、NPOの皆さんに通じると思っています。これからも、自分たち持っているノウハウは余すところなく提供するつもりです。This journey 1% finished.というバリューにちなんで、私たちのパートナーシップもこれからだと思っていることをお伝えします」。

日本NPOセンターでは、企業とのパートナーシップの下、NPOの皆さんに役立つセミナーをこれからも企画・開催していきます。「こんなセミナーがあったらいいな」というご意見、いつでもお待ちしています!

FACEBOOK参加者で記念撮影
FACEBOOK参加者で記念撮影