第1回助成先一覧 | 選考総評 | 助成概要と選考理由
第1回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)
事業名 |
津波被災地における女性視点でのくらしの課題解決の事業化支援 |
団体名 |
特定非営利活動法人 ウィメンズアイ |
主な活動地域 |
宮城県登米市 |
選考理由 |
ウィメンズアイは、被災地での女性支援をミッションに、気仙沼市、南三陸町、登米市で、女性達のコミュニケーションの場づくり、シングルマザー支援、女性グループの活動支援に取り組んできた団体である。助成事業は、農村漁村の中山間地域において、女性グループによる地域社会の課題解決につながる、身の丈に合った持続可能なソーシャルビジネスの立ち上げ支援を目的とする。萌芽的な活動を始めている女性グループに対してヒアリング、ワークショップを重ね、NPO、行政、商工会等の地域による協力体制をつくりながら、中長期的な事業計画を練り上げ、自律的・継続的な事業展開が可能になるよう実践的なノウハウの獲得を支援する。外部支援者による雇用創出や起業支援の取り組みが行われているが、必ずしも地域に定着していたものとなっておらず、地域の団体による息の長い支援が求められる。女性支援という活動の焦点が一貫しており実績を重ねていること、地域を巻き込んだ丁寧な伴走支援・協力体制作りを行う姿勢を期待したい。 |
事業名 |
在宅住民・仮設住宅住民の孤立防止と災害公営住宅入居者のコミュニティ形成 |
団体名 |
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター |
主な活動地域 |
宮城県気仙沼市 |
選考理由 |
日本国際ボランティアセンター(以下JVC)は、1980年にインドシナ難民救援を機に発足し、海外での人道支援の実績を持つ国際協力NGOである。今回の震災に際しては、宮城県気仙沼市や福島県南相馬市の支援に赴き、地域復興に尽力している。気仙沼市においては震災直後より災害ボランティアセンターの運営支援を実施し、夏には市内に事務所を開設、今日にわたり継続的な被災住民への支援を行なっている。震災から2年半余りを経過したいま、JVCでは現地状況の変化に伴い、作業ニーズに対応する活動から、住民の声に耳を傾け、心の負担を和らげるための定期巡回訪問や交流の場づくりへと支援内容を変化させた。今回の助成事業は、外部支援者ではなく地元支援団体が主体になるべきとの方向性を踏まえた上で、支援の届きにくい在宅住民や災害公営住宅への転居後のコミュニティ形成を支援するものである。地元団体との連携、協働により住民間の交流と新たなつながりが形成されていくことに期待したい。 |
事業名 |
子育てと就労・コミュニティを包括した事業モデルの創出 |
団体名 |
特定非営利活動法人 ピースジャム |
主な活動地域 |
宮城県気仙沼市 |
選考理由 |
乳幼児を抱える母親の雇用創出のため、ジャム製造、縫製の仕事づくりと、サロン活動などの育児支援を行ってきた団体。これまでは公共施設を借りていたが、新たに、作業室、子ども部屋、サロンスペース等を備え、子どもを見ながら働くことができる拠点を開設する。今回の助成事業は、商品開発、パッケージデザインの改善、販路拡大など事業収益改善に取り組み、経営基盤の強化、賃金の改善、雇用の拡大を図る。また、サロンスペースを地域のサロンとして常時開放し、ハンドマッサージ、親子対象の自然体験活動、高齢者等の参加による昔遊び等の催しを定期的に開催し、コミュニティづくりに取り組む。被災地の雇用環境は特に乳幼児を抱える母子には厳しいものがあるが、子どもをみながら就労できる事業モデル、拠点からコミュニティへの参加機会を拡大する活動は、ニーズに沿ったものである。事業目的が明確であり、事業収入、寄付収入など自主財源を主に運営された実績を持つことから、経営基盤強化が実現することを期待したい。 |
事業名 |
双葉町役場いわき事務所との連携による双葉町が抱える課題への支援事業 |
団体名 |
特定非営利活動法人 勿来まちづくりサポートセンター |
主な活動地域 |
福島県いわき市 |
選考理由 |
勿来まちづくりサポートセンターは、いわき市で唯一の双葉町仮設住宅を抱える地域の団体である。これまでも農作業ができる環境を整備、各種イベントや原発事故による賠償問題の勉強会なども開催してきた。2013年6月、当該地区に双葉町役場が設置されたこともあり、長らく避難所であった埼玉県加須市騎西高校で避難生活を送っていらっしゃった方々や、県外に避難されていた方々がいわき市に移転し始めている。しかし、仮設住宅の自治会の担い手不足、みなし仮設の孤立化、またいわき市住民との軋轢等、様々な課題を抱えている。今回の助成事業は、交流スペースでのサロンの開催、仮設住宅での恒例行事運営への参画、そしてみなし仮設への個別訪問の実施を双葉町役場や双葉町社会福祉協議会と連携して実施するものである。「故郷へしばらく戻れない」という厳しい現実の中、双葉町民一人ひとりのいのちと暮らしを支える貴重な活動であり、単発的イベントに終始することなく、年間を通して地道に計画していることも注目に値する。サロンや恒例行事に来られない方をどう巻き込むかも含めて、活動の中身をどう充実させるかという点について期待したい。 |
事業名 |
障がい児の被災者家族の支援プロジェクト |
団体名 |
特定非営利活動法人 ふよう土2100 |
主な活動地域 |
福島県郡山市 |
選考理由 |
東日本大震災により福島県の双葉郡8町村の人々はいまだ県内外での避難生活を強いられている。とりわけ障がい児をもつ家族は、養護学校や各種のサービスのある郡山市内へ避難している人たちが少なくないが、一方で、郡山市内には障がい児を日中預かる事業所は限られており、震災以前より預けたくても預けられない状態にあった。ふよう土2100は2012年5月に障がい児を育てる家族のために「交流サロンひかり」を開設し、障がい児家族のストレス軽減に努めている。今回の助成は、この交流サロンを一時預かりの拠点とし、質の高い継続的なサービス提供を図り、体験学習や相談会を通じて家族同士のネットワークを構築することを目的としている。避難による一時預かりの急激な需要拡大に対応すると共に、支援スタッフの育成を強化し、被災した障がい児と家族への中長期的な支援の拠点となるよう、その発展に期待したい。 |