助成先一覧 | 選考総評 | 助成概要と選考理由
応募状況(PDF)
【新規助成】
テーマ | 大槌たすけあいセンターにおけるスタッフの地域復興へのセルフケア力の育成 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 遠野まごころネット |
代表者 | 理事長 多田 一彦 |
助成額 | 464万円 |
選考理由 |
当団体は、東日本大震災直後に岩手県遠野市民と全国のボランティアなどの有志を母体に設立された。今回の応募計画では、産業再生の遅滞や人口流失などの問題を抱える岩手県大槌町のセーフティネットとして、地域住民に寄り添い、就業や生活相談などの生活再建に係る総合支援を行なう「総合相談支援センター事業」の中核となる人材育成に取組む。 具体的な事業展開が見込まれる点と、対象スタッフを含め地元出身者が活動の核となっている点を評価し、知識(心理的影響を理解)や評価(支援の必要性の理解)、スキル(傾聴、共感、社会資源の把握と理解)など身につけた育成スタッフが、ケアワーカー、カウンセラーなどに育ち、地域のセルフケア力、定着力、連帯力が再生促進されることを期待する。 |
テーマ | 「市民活動センター事業」を通じた市民力向上のためのスタッフ育成 |
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団体名 | 特定非営利活動法人アットマークリアスNPOサポートセンター |
代表者 | 代表理事 鹿野 順一 |
助成額 | 453万円 |
選考理由 | この団体は、釜石の中心市街地に賑わいを取り戻すことを目的に2004年に設立された。東日本大震災前は、釜石の地域情報の発信やイベントの開催等を実施し、地域に根ざしたNPOとして活動してきた。発災後、直ぐに活動を再開し、被災した地域住民と共にまちの復興に寄与してきた。今回の計画は、釜石及び周辺の住民が自ら課題解決に向かう「市民力」育成を進めるための人材を育成しようとするものである。「市民活動センター」は、人材と情報のネットワークが要と言われており、震災以前より活動を進めていた当該団体の持つ釜石地区の「まちづくり連絡会議」は大きな財産であろう。更に今回のスタッフ育成プログラムによって育成された人材が中心的に関わり、地域活動を継続的にサポートできることは地域にとって喜ばしいと思われる。ますます需要の高まる市民活動団体の支援を専門に行うセンターができることによる釜石地区の活性化を期待する。 |
テーマ | 社会的弱者を支援する農業・ソーシャルワーク技術の向上 |
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団体名 | 特定非営利活動法人フェアトレード東北 |
代表者 | 代表理事 布施 龍一 |
助成額 | 247万円 |
選考理由 |
この団体は、震災前から社会的弱者への自立支援に取組んできた。震災以降は、宮城県石巻市・東松島市を対象に、地元生活の実態調査を実施。そのデータを基に復興支援の届きにくい在宅被災者と高齢者に着目した支援と、シングルマザーが働きやすい環境を整えるための託児所運営を展開している。今回の応募計画では、団体の趣旨である「社会的弱者支援」として、生きがいの獲得を目的とした「ソーシャルファーム事業」を深化させ、シングルマザーの新たな社会参加スタイルの創出と高まるソーシャルファームの需要を受け、これらの事業を展開できる人材の育成に取組む。 シングルマザーが自立にむけ農業に従事しやすい環境の構築(託児所の優先利用、フレックス勤務、心のケア)などのフォロー体制が評価でき、生産現場だけでのOJTに偏らない先進地研修、収益を生み出すために必要な販売戦略のノウハウの習得など研修方法に特徴がある。育成スタッフが、ソーシャルファーム運営・管理スキルを習得し、更なる活躍に期待する。 |
テーマ | 気仙沼市地元住民組織としての組織基盤強化のためのスタッフ育成 |
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団体名 | 一般社団法人ボランティアステーションin気仙沼 |
代表者 | 代表理事 菊田 忠衛 |
助成額 | 218万円 |
選考理由 |
この団体は、多くのボランティアやNPO等の団体が、復興支援活動をスムーズに行える環境づくりを目的に、震災後に地元気仙沼の住民により組織された団体である。同時に、地元住民自らが復興に向けた取り組みを行えるように、地域コミュニティの再生を目指して仮設住宅住民に対するさまざまな取り組みを行っている。 今回の助成では、被災地域自治会や仮設住宅自治会などの地縁組織が、主体的に復興への取り組みを行える組織になるようにサポートをする人材を団体内に配置し、各組織の活動基盤を強化する研修会を企画すること等を通じて実践的に育成することが目的である。長期化する復興に住民自らが主体的に動く環境整備がなされることは将来の地域づくりにおいても大切であり、この取り組みは重要だと考える。 仮設住宅から災害公営住宅への移転が始まる時期でもあり、この2年半の間に創られた地域コミュニティが再度崩れてしまう可能性もある。その点も念頭に置きながら、住民主体の地域づくりが進むことを期待する。 |
テーマ | 福島農業の復興にむけた6次化人材育成プログラム ~コーディネート&財務マネジメント力育成事業~ |
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団体名 | 一般社団法人ふくしまかーちゃんの力ネットワーク |
代表者 | 代表理事 松野 光伸 |
助成額 | 478万円 |
選考理由 |
このネットワークは、福島県内の女性農業者のネットワーク化をはかり、農業の6次化(地域ビジネスの展開と新たな業態の創出)をはかることを目ざして震災後に発足した。その一助として、各団体をつなぐコーディネート力やイベントや交流会の企画・運営力を備えた人材を育成することが、今回の応募事業の目的とされている。 活動の参加者には、震災以前から農産物の加工・販売事業に取り組んでいた阿武隈地域の女性農業者も含まれ、今回の取り組みには、福島第一原発事故による放射能汚染によって中断を余議なくされた活動の継続・復興も含意されている。 震災以前からの活動実績をふまえつつも事業構想は発展的であり、これまでに蓄積されたネットワークやノウハウから、構想の実現可能性は高いと判断された。被災地域および被災者の再建にとどまらず、新しい農業のあり方の提案にもつながり得る活動として、今後の展開に強く期待する。 |
【継続助成】
テーマ | コミュニティ形成に関わるコーディネート能力の向上とニーズ等把握の聞く力の向上(2) |
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団体名 | 特定非営利活動法人陸前たがだ八起プロジェクト |
代表者 | 代表理事 松野 光伸 |
助成額 | 390万円 |
選考理由 |
この団体は、陸前高田オートキャンプ場に建設された仮設住宅に常駐し、住民への支援を行ってきた。復興事業の進行に伴って、住民の生活条件やニーズも変化し続けている。2014年度には、当該仮設住宅の近辺で災害公営住宅の入居が開始されるなど、現地での一層の変化が予想される。臨機応変な対応が求められる所以であるが、このような中で申請者は、助成2年目の目的として、スタッフの「聞く(聴く)力」と、外部の支援者とのコーディネート機能を高めることをあげている。 確たる将来の見通しも得られにくい中で、あえてスタッフの基礎力強化に傾注し、プログラムの乱立を避ける堅実な姿勢は評価される。住民の日常に寄り添った活動であるだけに、その成果を把握することの難しさも推察されるところではあるが、基盤を強化し、対外的な説得力を高めるためにも、体系的な活動評価を試みる段階にさしかかっているように思われる。 |
テーマ | まなび場を通して低所得家庭と専門機関をつなぐコーディネーターの育成 |
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団体名 | 特定非営利活動法人 アスイク |
代表者 | 代表理事 大橋 雄介 |
助成額 | 361万円 |
選考理由 |
この団体は、被災した子どもを対象に、宮城県において子どもの学習遅れや意欲の低下を防ぐために、避難所で学習サポートを行うべく設立された。その後、仮設住宅などでの生活を余儀なくされている子どもたちへの学習サポートへと移行するが、継続性、教育効果、支援の規模等を考慮した支援を進めるためには、多様な主体との連携や新たなサポート方法が必要となってきた。こうした課題を受け、アスイクは地域の団体であるみやぎ生協や、あしなが育英会との提携を実現し、ネットワークを広げてきた実績があり、今後の広がりにも期待が持てる。 地域に根差した活動を継続するなかで、事業のスタート時には想定していなかったニーズや課題にこれから直面することが予想される。地域のニーズをくみ取り、多様な団体、機関と連携していくことで、地域にとって必要とされる資源・サービスを創造し、かつ事業として継続が可能となる工夫を凝らし、さらなるイノベーションを果たす団体へと発展してゆくことを期待したい。 |
テーマ | 「教育を通じた“まちづくり”コミュニティーの形成」マネジメント人材の育成(2) |
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団体名 | 一般社団法人南三陸町復興推進ネットワーク |
代表者 | 代表理事 及川 博道 |
助成額 | 393万円 |
選考理由 |
この団体は、自らも被災した代表者やメンバーが、出身地の南三陸町におい震災直後から支援活動を行い、その活動を通じて得たリソースを継続的に復興につなげていくために設立された。 昨年度の助成(新規助成)では、団体の既存事業を通じたOJTにより、「連携スキル」「情報発信スキル」「地域資源の理解」の獲得を目標に実施したが、定期的な報告レポートからも着実にスキルアップされていることがうかがえる。 今回の継続助成では、身に着けたスキルを活動の実践場面で活かしながら、次は組織を担う人材の育成へとステップアップし、「指導力」「戦略力」「提案力」をOJTと外部研修の双方の手法で育成ものである。震災後に設立した団体であり、組織基盤の強化のためにも次期リーダーの育成は重要である。 被災後、若者の地域外への流出が進む地域も多いが、地元出身の若者が主体となって地域の課題解決に取り組む組織を立ち上げ、安定した組織運営を目指すモデルとして期待したい。 |
テーマ | 障害児等の支援における専門スタッフ育成プロジェクト(2) |
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団体名 | 特定非営利活動法人みやぎ子ども養育支援の会 |
代表者 | 理事長 木村 孝禅 |
助成額 | 349万円 |
選考理由 | この団体は、任意団体として2011年11月に石巻において活動を開始し、小規模住居型児童養育事業や児童自立生活援助事業を実施してきた。昨年度、本新規助成により、子育てサロンを卒業した障がい児・者を対象に就労スキルの訓練事業の統括マネージャーを育成した。障がい児・者の就労支援は長期的な取り組みが必要なため、本年度も継続的に統括マネージャーのスキルアップを図り、子ども・高齢者・障がい児・者支援事業の基点となることを目的としている。将来的な目標である放課後児童クラブや障害者総合支援法に基づく就労支援事業へ発展することを願うと共に、今回の助成による人材育成・組織強化が、持続的な活動展開のためのスタッフの雇用継続につながることを期待したい。 |