7月17日(水)、かながわ県民センターにて、「自治体職員のためのNPO講座」を開催いたしました。2005年度の開催から8回目となる今回は、全国各地から62団体93名の方にご参加いただきました。改めまして、心より御礼を申し上げます。
以下、講座の概要です。
テーマ I 法人制度
【講義1】「NPOを取り巻く環境の変化とNPO法の趣旨・特徴」 講師:早瀬
このセクションでは、NPO法の思想・理念の部分を中心に、大きく4つの観点から、講演しました。
まず、NPO法制定以前の状況として、代表的な非営利組織であったいわゆる「民法34条法人」が有していた諸課題について言及し、そこからNPO法制定につながるプロセスについて説明しました。次に、NPO法の思想について、「認証」「認定」の意義について、PST(=パブリックサポートテスト)などの具体的手法の意義も交えて説明しました。また、最近の話題として、新公益法人制度について触れました。最後に、市民活動の意味とNPO法人の可能性を、市民の「参加」をキーワードに再確認しました。
【講義2】「NPOの情報公開とNPO法人会計基準」 講師:坂口
このセクションでは、NPOの情報公開の重要性とその手段の一つである会計基準について、講義しました。
まず、個々のNPOはもちろんのこと、ひいてはNPO全体に対する社会的な期待や要望に応え、信頼を得ていくためには、NPO法で義務付けられている情報開示に留まらず、積極的な情報公開が大切であることを説明しました。
また、会計基準に関しては、その策定経緯に始まり、まさしく「NPOによるNPOのための会計基準」として、会計報告が報告のための報告でなく、支援者や市民に広く利用されることを通じて、NPOの自律的発展につなげていくためのものであることを説明しました。
- (参考URL)
- ○ NPO法人データベース「NPOヒロバ」 http://www.npo-hiroba.or.jp
- ○ NPO法人会計基準協議会 http://www.npokaikeikijun.jp
テーマ II 支援と協働
【実践報告】「NPOの活動基盤整備のためのNPOと行政の役割」 進行:新田
このセクションでは、神奈川県県民局くらし県民部 NPO協働推進課長 鈴木さん、特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター 事務局長 山本さんをお迎えして、行政とNPO支援センターそれぞれの立場から、新しい公共支援事業を通じて得られた知見および今後の支援のあり方について、事例を踏まえて議論しました。
鈴木さんからは、活動基盤強化を中心に神奈川県の一連のNPO支援の取組みを説明いただくとともに、それを踏まえた新規事業「ボランタリー団体成長支援事業」について、紹介いただきました。
山本さんからは、新しい公共支援事業を通じて再認識された、行政や大学、企業などの様々なステークホルダーとの対話や情報発信の重要性について、説明いただきました。
お二人の発表を受けたディスカッションでは、活動基盤整備は、なかなか市民から見えにくい部分であるため、日々の活動はもちろんのこと、FacebookやCMなども積極的に活用して、市民からの「共感」を得ていくことが欠かせないということを、参加者の皆さんと共有しました。
- (参考URL)
- ○ 神奈川県県民局くらし県民部 NPO協働推進課 http://www.pref.kanagawa.jp/div/0223
- ○ 特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター http://npoc.or.jp
【報告】「NPO支援センター調査報告」 報告:椎野
このセクションでは、日本NPOセンターが実施した全国のNPO支援センターを対象に実施した調査をもとに、速報版として、全国のNPO支援センターの現状と傾向について報告しました。
まず、今回の調査は、従来の「公設公営」「公設民営」「民設民営」の3類型から、新たに「行政設置、行政運営」「行政設置、民間運営」「行政設置、行政・民間による運営」「民間設置、民間運営」の4類型に分類して調査分析したという特徴を説明し、類型ごとの比較や考察を紹介しました。
※調査の全貌は、日本NPOセンターWEBサイトで近日公開予定です。
【クロージング】「NPOの支援と協働について考える」 進行:田尻
このセクションでは、まとめに代えて、支援と協働のあり方を改めて整理しました。
はじめに、昨今の社会状況から、NPOをはじめとする「民間」に対する期待を確認した後、まず、どのような「支援」が必要かについて、NPOの財源と事業・運営モデルとの関係性とNPOの特徴について紹介し、これらを踏まえた「支援」が求められることを説明しました。次に、どのような「協働」が必要かについて、まず「協働」と一口に言っても、様々な形態があり、またそれも社会状況によって変化しうることを確認し、また、二者間だけではなく、多様な主体からなる「マルチステークホルダー・プロセス」の重要性にも触れ、最後に行政に求められる協働を進める姿勢を確認し、講義の締めくくりとしました。
日本NPOセンターはまた、「NPOと行政の対話フォーラム」という、行政の皆さま、NPOや地域活動に関わっていらっしゃる方に広くご参加いただく場を今年度も予定しております。どうぞご期待ください。
- (関連書籍)
- 「知っておきたいNPOのこと」シリーズや会計基準に関する書籍など、講座内でご紹介しました書籍は、以下からご注文できます。ぜひご利用ください。
- ○ 「取扱い書籍のご案内」のページ