第2期第4回助成先一覧 | 選考総評 | 助成概要と選考理由
第2期第4回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)
「持続可能な組織基盤強化を願って」
選考委員長 島田 茂
東日本大震災現地NPO応援基金は2011年3月に日本NPOセンターに設置され、個人・団体・企業の寄付によって、2011年11月までを救援期(第1期)として、緊急活動に取り組む現地NPOを対象に、27件(22団体)・4,380万円の助成を実施した。11月からは生活再建期(第2期)として「被災者の生活再建を支援する現地NPOの組織基盤強化」をテーマに公募し、一年間の助成期間、1億円の助成総額を予定し、年4回に分けて助成を開始した。第1回目は、応募件数31件の中から6件・2,551万円を1月に助成し、第2回目は、2月末を期限として73件の応募に対し8件・3,130万円を4月に助成し、第3回目は、5月15日を期限として60件の応募があり5件・1,898万円を7月に助成した。
震災から一年が経過した2012年3月に、中長期的な視点で被災者の生活再建に取り組むNPOを強化するために、第二次募金を開始した。この特定募金を原資に、「大和証券フェニックスジャパン・プログラム」を立ち上げ、「被災者の生活再建に取り組むNPOの人材育成」をテーマに、【特定助成】(1件500万円以内、助成総額4,000万円、助成件数10件程度)として新たに公募を開始した。第2期「現地NPOの組織基盤強化」としてのこれまでのプログラムの第4回は、【一般助成】(1件あたり300万円以内、助成総額1,500万円、助成件数6件程度)として2012年8月1日必着で公募した。その結果、29件の応募であった。
選考は、各選考委員がすべての応募書類を読みこみ、被災3県の「現地NPO」であること、団体要件や趣旨の適合性「生活支援活動の評価」「計画に相応しい組織基盤の実績」「明確な背景・目的・適切な実現方法」「効果的な計画内容」「活動の持続性・長期的貢献の期待」から分析し、全ての案件にABCの評価を付け、選考対象を15件に絞り込んだ。第2段階では、この評価結果をもとに選考委員会で検討を重ねて助成対象候補として8件に絞り込んだ。第3段階では、事務局が助成対象候補に対して現地インタビューを行い、選考委員長はその報告を受け、9月13日に岩手1件、宮城1件、福島3件の計5件、1,350万円の助成を決定した。
第1~4回の応募と助成状況を県別に整理すると、次のとおりである。
第2期第1回
岩手県 | 宮城県 | 福島県 | その他 | 計 | |
応募件数 | 7件 | 18件 | 4件 | 2件 | 31件 |
助成件数 | 3件 | 2件 | 1件 | 0件 | 6件 |
第2期第2回
岩手県 | 宮城県 | 福島県 | その他 | 計 | |
応募件数 | 7件 | 38件 | 16件 | 12件 | 73件 |
助成件数 | 2件 | 3件 | 3件 | 0件 | 8件 |
第2期第3回
岩手県 | 宮城県 | 福島県 | その他 | 計 | |
応募件数 | 13件 | 23件 | 12件 | 12件 | 60件 |
助成件数 | 1件 | 2件 | 2件 | 0件 | 5件 |
第2期第4回
岩手県 | 宮城県 | 福島県 | その他 | 計 | |
応募件数 | 6件 | 11件 | 7件 | 5件 | 29件 |
助成件数 | 1件 | 1件 | 3件 | 0件 | 5件 |
今回は、選考委員長として二回目の選考に関わらせていただいたが、前回と比べて件数は少なかったものの、それぞれの団体が被災者に寄り添いつつ懸命に活動されていることが応募書類から読み取れ頭が下がる思いがした。自ら被災しつつ自立して復興していくために商店街の再生や仮設住宅でのコミュニティづくりに励まれている団体も高く評価された。また、内陸都市に避難しているシングルマザーに対する就業サポート、仮設住宅の女性や高齢者の自立のための共同作業場的な事業、独居老人や障がい者を見回る活動など、災害弱者の対する活動が目立った。
今回も課題となったことは、応募団体自体が生活再建活動又は支援団体として持続可能な組織となっているかということであった。つまり、この助成プログラムが組織基盤強化を目的としているが、強化する以前に組織化されていない団体もあった。グループや団体ではなく個人の企画、営利団体が事業補てんをするためと思われる企画、団体のリーダーの発案ではなく協力しているコンサルタントが作文し、応募団体自体は企画内容を十分理解していない企画などがあった。「被災者の生活再建を支援」する活動となっているか、NPOとしての組織になっているか、「持続可能な組織基盤強化」の応募計画と予算になっているかということが選考の基準となった。また、今回も組織基盤のための計画ではなく、プロジェクトそのものが計画され予算化されている企画もあった。
応募された団体の活動は、それぞれが復興を推進する団体であり、長期的な生活支援を継続していくために今後共に組織づくり、マネージメント力や資金調達力が必要とされる。 今回選ばれなかった応募団体の中には、自らも被災し、個人や仲間と支援活動を開始し、NPOとして組織づくりを始めた団体があり、活動を継続し続けることで、実績を積むと共に、賛同者を募り、自らの資金調達力を高め、今後も応募にチャレンジして欲しい。
助成された現地NPOは、ニュースレターやインターネットなどのメディアを通して、組織のミッションや活動報告などについて広く情報発信を適時行い、団体としての公明性と透明性を高め、支援者やボランティアを募り組織基盤を自ら強化してほしい。今回の助成金が、被災者と寄付者の期待に応えられる結果であることを願う。
東日本大震災現地NPO応援基金(第2期第4回)選考委員
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