東日本大震災現地NPO応援基金(第2期)第3回選考総評

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第2期第3回選考結果のご報告(上記各ページのPDF版)

「生活再建期に活躍する現地NPOの組織基盤を強化」

選考委員長 島田 茂

 東日本大震災現地NPO応援基金は2011年3月18日に日本NPOセンターに設置され、個人・団体・企業の寄付によって、2011年4月から11月までを第1期(救援期)として、「臨機に、迅速に、柔軟に」を方針とし、緊急活動に取り組む現地NPOを対象に、29件(22団体)・4,380万円の助成を実施した。昨年11月からは第2期(生活再建期)として「被災者の生活再建を支援する現地NPOの組織基盤強化」をテーマに常時公募を開始し、一年間の助成期間1億円の助成総額を予定し、年4回に分けて助成を行うこととした。第1回目は、応募件数31件の中から6件・2,551万円を1月に助成し、第2回目は、2月末を期限として73件の応募に対し8件・3,130万円を4月に助成した。

 今回、第2期第3回目は、5月15日を期限として応募を受け付け60件の応募があった。第2回の73件の応募よりは少なかったが、本基金の存在が被災地で活動する現地NPOに浸透してきたことが考えられる。選考は、各選考委員がすべての応募書類を読みこみ、第1段階として予備選考委員会において被災3県の「現地NPO」であるかなど団体要件や趣旨の適合性に基づいて、本選考対象を46件に絞り込んだ。第2段階では、これら本選考対象に対して、各選考委員が「生活支援活動の評価」「計画に相応しい組織基盤の実績」「明確な背景・目的・適切な実現方法」「効果的な計画内容」「活動の持続性・長期的貢献の期待」から分析し、全ての案件にABCの評価を付けた。この評価結果をもとに本選考委員会で検討を重ねて助成対象候補として8件に絞り込んだ。第3段階では、事務局が助成対象候補に対して現地インタビューを行い、選考委員長はその報告を受け、6月20日に岩手1件、宮城2件、福島2件の計5件、1,898万円の助成を決定した。

第2期(第1~3回)の応募と助成状況を県別に整理すると、次のとおりである。

第2期第1回

岩手県 宮城県 福島県 その他
応募件数 7件 18件 4件 2件 31件
助成件数 3件 2件 1件 0件 6件

第2期第2回

岩手県 宮城県 福島県 その他
応募件数 7件 38件 16件 12件 73件
助成件数 2件 3件 3件 0件 8件

第2期第3回

岩手県 宮城県 福島県 その他
応募件数 13件 23件 12件 12件 60件
助成件数 1件 2件 2件 0件 5件

 今回、前選考委員長椎野修平氏から引き継ぎ、選考委員長の大役を引き受けたが、前委員長の1回目の総評にあるように、被災地域の生活支援をする団体の助成ということで、どの団体も応募書類から被災者に寄り添いつつ懸命に活動されている様子が伝わり、その中から選考することの難しさを痛感した。それぞれの応募書類に目を通し、一つひとつの団体の理念・組織・活動実績、そして応募の趣旨・計画と予算に対して評価した。

 特に、「被災者の生活再建を支援」する活動となっているか、NPOとしての組織になっているか、「持続可能な組織基盤強化」の応募計画と予算になっているかということが問われた。幾つかの応募内容では、組織基盤のための計画ではなく、生活支援としてのプロジェクトの計画であった。また、趣旨としては組織基盤のためとあっても、具体的な計画内容と予算は活動計画そのものであるものもあった。

 震災支援では緊急時には自立した事業活動は難しく、行政からの委託事業収入や助成団体からの助成金収入によってプロジェクト資金を得ることはやむを得ないが、長期的な生活支援を継続していくためには、団体としての資金調達力やマネージメント力が必要とされていく。今回選ばれなかった応募団体の中には、震災で自らも被災し、個人で支援活動を開始し、ようやく仲間と共にNPOとして組織づくりを始めた団体が多く、NPOとしての実績と経験がない。プロジェクトに対する助成金などを獲得しつつ、活動の実績を積むと共に、賛同者を募り、自らの資金調達力を高めつつ、再度応募して欲しい。

 助成対象となった現地NPOは、ニュースレターやインターネットなどのメディアを通して、組織のミッションや活動報告などについて広く情報発信を適時行い、団体としての公明性と透明性を高め、支援者やボランティアを募り組織基盤を自ら強化してほしい。今回の助成金が、被災者と寄付者の期待に応えられる結果であることを願う。

東日本大震災現地NPO応援基金(第2期第3回)選考委員
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