●震災後、宮城県内の地元のNPOに寄付が集まりにくい状況に対し、早急に資金支援が必要と判断し「はばたけファンド」を設置したせんだい・みやぎNPOセンター。代表理事の紅邑晶子さんとプログラムオフィサーの布田剛さんさんにお話しを伺った。【助成金額220万円】
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聞き手:はばたけファンドとはどういったものでしょうか。
布田: 被災した宮城県内のNPOへの資金支援を目的に震災後に立ち上げたファンドです。せんだい・みやぎNPOセンターには震災以前から資金支援の仕組みを持っていたので、それを活かしました。4月の一次助成では緊急支援として、4団体に総額110万円を出しました。例えば、仙台市内の避難所で自分たちのお金で活動していた炊き出しや配食サービスの支援、気仙沼で拠点が津波に流された団体の復旧に使われました。
聞き手:現地NPO応援基金はどのように使われたのですか?
紅邑:一次助成の原資は、せんだい・みやぎNPOセンターの持ち出しでした。その後、「東日本大震災現地NPO応援基金」からの助成金と寄付を加えてはばたけファンドの原資とし、6月以降の二次・三次助成合計11件・420万円の助成へと繋がりました。特に二次助成の応募の時期は、ちょうど活動していた団体の資金が底をついてきていたようで、高まっていた資金支援のニーズに応えることができました。
聞き手:はばたけファンドとしての活動の成果はどうでしたか。
布田:団体の資金調達状況を把握しながら、状況に合わせて柔軟に使ってもらえる資金として利用してもらうことができました。一次助成では、とにかく早く支援したことが、活動をする上ですごく支えになったと、ある団体の代表の方に言っていただけました。
また、公募にした二次・三次助成では、震災を機に活動を始めたばかりの団体に活動のスタート資金として活用されました。その結果、亘理(わたり)町の仮設住宅での住民による生活支援や名取市でのコミュニティづくりなど新しい活動に対する支援へと繋がりました。
聞き手:今後の課題は何でしょうか。
紅邑: もっと日常的に丁寧なつながりを各団体と築いておくことの必要性を、今回の震災を通じて実感しました。事情が分かっていれば、すぐに支援できますから。あとは、人ですね。今は、各現場で地に足がついた活動をしている団体が、助成金を申請する時間がない現実があります。今後は、中長期的に今後の活動や資金調達のことを考え助成金の申請まで寄り添える、コンサルティングのできる人材が必要だと感じています。そして、復興やその先を支える人材を育成し現場に提供していくことが、せんだい・みやぎNPOセンターとして重要だと考えています。
2011年10月7日(@宮城県仙台市)
取材者:岡本泰志