認定特定非営利活動法人環境の杜こうち 事務局長 石川貴洋 さん

とあるNPOの組織基盤強化に七転八倒する現在進行形のおはなし

環境の杜こうちは2005年、NPO法人として設立した会員100名弱の団体です。高知県の環境NPOに特化した中間支援組織で、県の呼びかけから県との「協働型事業」の受け皿として設立した経緯があります。当初は官民(県と環境の杜こうち)協働の取り組みとして、受託事業ではあっても法人のやりたい事業を随意契約で行っていたので、「組織基盤強化」を考えなくてもよい状態でした。

しかし、3年で法人としての自立を促すという県の意向によって当初の協働型から、一般的な委託受託の関係となりました。徐々に、会員の事業参画の形骸化や参加意欲の減衰が見られるようになっていきます。また、委託事業の減額や競争によって経営基盤が縮小、不安定となるなど、「組織基盤強化」を否が応にも考えなくてはいけない環境になりました。

2014年度に「環境の杜こうち・10年ビジョン」を策定したものの、実行に移されることがないまま、2016年度には基幹事業(委託事業)を他に取られてしまい組織存亡の危機に直面しました。人件費や運営費の削減、借入や賞与の期末払いなどの運転資金の確保の取り組み、新たな委託事業の獲得(仕事獲得の意識改革)、助成金の獲得、新規自主事業の実施など、様々な手を打つことで危機を乗り切りました。この時期の新規自主事業で企業や団体と関係性が構築されたことが、現在の大きな財産になっています。

そして2017年度から基幹事業の再受託に成功します。経営的には一安心でも、依然課題は未解決のままです。今後同じ轍を踏まないためにも、危機感を失わず、策定した10年ビジョンを実行に移せるかがポイントとなります。当法人の場合は議論よりも、「実行」こそが組織基盤をつくるのかもしれません。