組織基盤強化とは?

組織基盤強化とは

NPOは人々が社会に対し課題と感じていることに対し解決へと導く活動です。しかし、その事業も組織体制の基盤が弱くては持続的に行うことはできません。たとえば船の積み荷と船体の関係に似ており、積み荷(事業)ばかりに目が向き、事業数や事業予算が増えていった時、船体(組織基盤)を強化しておかなければ船は積み荷の重さに耐えきれず沈没してしまいます。NPOが組織課題を感じつつも、日々の事業に励むうちに数年後には活動自体が立ち行かなくなるケースが多いのはこのような背景があるようです。


では、組織基盤とは何でしょうか。それは、人的基盤、財政基盤、情報基盤などで組織運営(経営)上の基礎となるものです。これらの基礎をしっかりと確立させることで、着実で継続的な活動を行うことが可能となります。 以下、各組織基盤について紹介します。

さまざまな組織基盤

○人的基盤の確立

人的基盤の強化には大きく分けて「人材」と「育成」に分けることができます。「人材」の面では、理事などの役員の確保、スタッフの確保、ボランティアや会員や寄付者などの支援者の確保などが課題となっている点が多いようです。もちろん資金が潤沢であれば確保について解決しやすいかもしれないですが、資金課題を抱える団体では容易ではありません。解決策を一言で言えば、組織に関わる人を増やすことができれば、ある程度の問題は解決します。
左の図のようにより多くの人が参加できる仕組みを組織の中に作ることが人的基盤の確立の一歩です。

人的に課題を抱える組織は、ごく限られた人たちだけで組織も事業も回しており、人の広がりの不足が、人材確保を難しくしているようです。まずはその点を改善することが大切です。

その次に、それぞれの立場の人に合わせた「育成」の機会を確保すること。その順番を違えると「人材」→「育成」を繰り返すことになってしまいます。

○財政基盤の確立

財政基盤の強化については「財源」と「管理」に分かれます。NPOが確保できる財源はどのようなものがあり、それぞれにどのような特徴があるかを理解することが大切です。

右の図のように財源の特徴別に分類し、今の組織の状態に合った資金の確保に努めることが最も重要です。また、将来の組織の姿に合わせた財源構造をイメージして資金確保することが組織の安定につながります。

次に「管理」についてです。この点はガバナンスとの密接な関係がありますが、顧客管理、資金管理、予実管理など、集めた資金の有効な活用と管理を行うことが、次の資金の確保につながります。専門家に協力を依頼したり、ICTの活用をしたり「管理」することも重要な財政基盤といえます。

○ガバナンスの確立

組織統治という言葉だと難しく感じますが、みんなが組織に関わりやすくするための体制整備といえば少し身近になります。キーワードは「手順」と「決め事」だと考えています。集団で一つ物事を進めていくためには、「誰が、何を、どのように決めるか」この手順を決めておかないと、時として混乱が生じます。事故が起きても代表者に報告されない、会議をしても誰も決める人がいないので進まない、どこで何が決まっているかわからない、など手順を明確にしないとさまざまな衝突が起きてしまいます。

次に、「決め事」ですが、ルールや規定、規約などです。団体立ち上げ時に作成された定款も代表的なものです。あまり沢山の「決め事」をつくると、堅苦しくなったり、決め事に管理されるようになるので注意が必要ですが、最低限の決め事は集団活動をする上では欠かせないものです。

○ネットワークングの確立

被災地での活動を進めるためには、同じ地域で活動する他団体と、情報の共有や連携がないと、支援の入らない地域が出たり、重複した支援を気づかずに実施していたりと、かえって被災した人々に負担をかけることも起きてしまいがちです。2011年の東日本大震災では、その点が充分に理解され、さまざまな地域では情報共有などの機会が多く存在します。しかし、支援団体の減少に伴い情報共有からもう一歩進んだ連携が必要となっています。

個々の組織の活動内容や形態が確立した現在、新たな取り組みにチャレンジするのは気が重いものです。そんな時こそ他団体と共に一つの課題解決に向けた協働を進めてみると、新たな解決策が見いだせるなど今までにない取り組みができる可能性があります。

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