第10回目の市民社会創造ラボ。今回はお正月にちなみ、日本NPOセンター特別研究員の椎野修平が「熈代勝覧」という絵巻物を題材に「絵巻物で読み解く江戸の市民社会~エコでボランタリーな江戸の町~」をテーマにお話しさせていただきました。
「熈代勝覧」は1999年にドイツで発見された絵巻物。文化文政時代の爛熟した日本橋大通りの問屋街と、そこに行き交う人々の姿を生き生きと描いた日本橋繁盛記ともいえるものです。現在は、ベルリン国立アジア美術館に所蔵されていますが、東京メトロ三越駅地下コンコースに複製が設置されています。
この絵巻物には、1,671人の人物のほかに、犬20匹、馬13頭、猿1匹、鷹2羽が登場します。また、大通りの西側の88軒の店が暖簾で屋号が分かるほど克明に描かれており、当時の人々の生活ぶりがとてもよく分かります。
例えば、火事が多かった江戸の町ですが、鳶の仕事ぶりや店先に置かれた水桶からは火消しの活躍が目に浮かびますし、寺子屋に通う子どもたちからは当時の識字率の高さが伺えます。実は、火消しも寺子屋も今でいうNPO的な運営で支えられていました。
また、搗き米屋、古着屋、反故紙買い(古紙回収業)、箍屋(たがや:木桶の箍を取り換える職人)らの姿からは、環境循環型都市といわれる江戸の町を思い描くこともできます。
皆さんもぜひこの絵巻物をご覧になって、エコでボランタリーな江戸の町にタイムスリップしてみるのはいかがでしょうか?
第10回市民社会創造ラボの当日資料はこちらからご覧ください。
《第10回市民社会創造ラボ(終了)講師紹介》
椎野 修平(しいの・しゅうへい)
認定特定非営利活動法人日本NPOセンター 特別研究員
神奈川県庁にて税務、国際交流、児童福祉、広報、商工部局などの業務を担当。1996年4月に全国に先駆けて開設された「かながわ県民活動サポートセンター」に10年間勤務し、市民活動やNPOの支援に取り組む。この間に「かながわボランタリー活動推進基金21」の設立に関わり、NPOと行政の協働事業への資金提供の仕組みを構築。退職後に経済団体で中小企業の経営支援や商店街振興などに携わった後、2012年4月より現職。
次回の市民社会創造ラボは、3月26日(木)開催。子どもの未来サポートオフィス代表・米田佐知子さんをゲストにお迎えし、「居場所から見る市民社会」をテーマに語っていただきます。
第11回の開催は延期とさせていただきました。開催日程が決定次第、ウェブサイトにてお知らせいたします。
第11回市民社会創造ラボの概要・お申込み
皆さんのご参加をお待ちしています!
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