NPOどんどこプロジェクト

NPOどんどこプロジェクト 2019

浅野町児童館

石川県金沢市

子どもが育む地域のつながり「おいしいよ農園移動カフェ」開催

タイトル 子どもが育む地域のつながり「おいしいよ農園移動カフェ」開催
協力NPO NPO法人 くくのち
その他協力者
  • 児童館の団体「ワイガヤクラブ、放課後児童クラブ保護者会、放課後児童クラブ・児童館OB会」
  • 地域の団体
  • 地域の方
  • 浅野町地域組織活動育成クラブ
事業期間 2019年4月~2020年2月
開催場所 浅野町児童館と周辺地域
目的
  • 子ども自身が浅野町で栽培した作物を使ったカフェメニューを仲間と共に考案し地域で「おいしいよ農園カフェ」を開催する。
  • 子ども自ら浅野町の地域性や課題に興味を持ち、情報収集に努め、幅広い人が集うカフェを開催する中で、「楽しく食事」など、食に対する関心を高め、地域の世代間交流や地域間交流がすすむ。
  • 今後もおいしいよ農園カフェが継続可能な事業になり、子どもの主体性・社会性をはぐくむ事業になる。
概要
  • おいしいよ農園経営ごっこの継続
  • 地域性や課題の把握
  • 他団体と連携した「地域知合いたいマップ」の完成
  • 「おいしいよ農園カフェ」を通した世代間交流や地域間交流
  • 「おいしいよ農園移動カフェ」の運営を考え同時に食育に取り組む

浅野町児童館について

連絡先

住所 〒920-0841
石川県金沢市浅野本町2丁目13-12
電話番号 076-252-5664

レポート

当日の様子

大人会議

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児童館職員と、NPO、協力いただく地域の方で開催し、「おいしいよ農園」における活動の様子や子どもの現状を話しました。

話した内容
1. 移動カフェの課題やカフェ運営に必要な準備について
2. 浅野町の地域性と「おいしいよ農園」を地域に周知する方法について
3. 移動カフェでの交流について
4. 子どもが考えたメニューの提案や試作について

子ども会議
  • 「おいしいよ農園」活動日は、社長や副社長(子ども役員)を中心に子ども会議を開き、移動カフェの課題や運営方法、移動カフェメニューなど話し合いました。また、調査した浅野町の地域性を報告し、移動カフェの開催場所を検討しました。
  • 「おいしいよ農園」がおこなう地域向けのイベントチラシは、役員の子どもたちが作成し、浅野町小学校全クラスに配布します。さらに田植えと稲刈り、サツマイモの定植とサツマイモほり、移動カフェの各活動と「おいしいよ農園」について、役員の子どもたちが全クラスを回り説明しました。夏休みには「おいしいよ農園」の4年間の活動や、毎月1回取り組んだ稲の観察をまとめ、夏休みの自由研究として小学校に提出しました。
おとな会議+子ども会議

「ほやね城北まつり」移動カフェ実行委員会は6回開催されました。うち、「おいしいよ農園」役員の小学生は2回参加できました。小学生は、実行委員会に会社役員の立場で参加し、意見は尊重されました。実行委員会では、「おいしいよ農園」で決定された内容を伝え、カフェ開催の注意点やカフェの場所と段取りを確認しました。

とりくんだこと

4/28【田植え】

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大型連休初日で参加者の人数が心配でしたが、当日は幼児から小学生まで多くの親子が元気に参加して、田植えを楽しみました。田植えは今年で4年目を迎えます。子ども達の苗を植える手つきもなれたもので上手でした。

5/19【五郎島金時の苗定植】

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26家族で100名以上参加し、気持ち良い砂地の畑で五郎島金時の苗を植えました。砂地にさつまいもの苗を深く植えないと苗が枯れてしまう、苗と苗の感覚が重要だと知りました。

6/13【メニュー試作会】

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「おいしいよ農園」役員がメニューごとに分かれ、料理を作り、美味しく試食しました。子どもが考えた移動カフェメニューに、NPOが作りやすさと提供しやすさを考慮して、最終的なメニューを考案しました。

6/29【ほやね城北まつり】

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移動カフェ当日は「おいしいよ農園」役員の子どもが朝早くから準備に取り掛かかりました。衛生面を考え、朝からのメニュー作りや前日からの下準備は大変でしたが、子ども達は張り切って料理をしました。

当日はカフェ開催場所の準備もあり、先に「ほやね城北」に向うチームと少し遅れて商品をワゴンに積み向かうチームの2班に別れ出発しました。2班に分かれる前に子ども達全員で「おいしいよ農園」移動カフェの内容、人の動きを確認もしたためカフェ準備もスムーズにすすみ、運営も大きな問題もなく、お年寄りの方にも喜んでいただき、大賑わいのカフェになりました。

カフェ後の振り返りで、小学生からは、「お年寄りがテーブルに長く座っていて、どう声をかけて良いか分からなかった」「おはぎが完売したことやおしゃれサイダーは人気があったことが嬉しかった」「おじいちゃん、おばあちゃんがおいしいよ」といってくれたと多くの声がありました。人が沢山来た時に座る場所や椅子が無かったと反省点もありました。子ども達はカフェに来たお客さんを思いやって行動できたと思います。お客さんに応じたメニューサイズやメニューを考える大切さに気づきました。

7/6【移動カフェ:七夕】

児童館の七夕まつりで「おいしいよ農園移動カフェ」役員の小学5年生6人で開催しました。メニューの数を少なくして5年生だけで頑張り、仲間意識を高める活動になりました。

9/1【稲刈り】

夏休み明けで雨上がりのきれいな虹をみることができました。最後に刈った稲を天日に干して、やり切った達成感がありました。

9/15【移動カフェのメニュー試作会】

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「おいしいよ農園」社員の家族が段ボールでピザ釜作りとピザ作りを児童館で体験しました。NPO指導のもと子どもチームやお父さんお母さんチームに分かれてピザ釜作りとピザ作りをしました。楽しく和気あいあいと作業は進みました。段ボールピザ釜に入れる炭火が足りなくなり、焼きあがらないピザもいくつかありましたが、最後はどの家族も美味しくピザをいただき、体験会は終了しました。

10/14【さつまいもほり】

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5月に定植した苗が育ち、大きなさつまいもが収穫できて大満足でした。収穫したさつまいもは文化際で開催の「おいしいよ農園移動カフェ」で袋に詰めて販売しました。また、新商品として『「おいしいよ農園」オリジナルさつまいもアイス』を販売しました。アイスのシールは、役員の子どもが小学校で募集した「おいしいよ農園」キャラクターをシールにして貼りました。

10/20【移動カフェ:浅野町小学校学区内文化祭】

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文化祭は公民館、社会福祉協議会、小学校育友会の連携で開催されます。「おいしいよ農園」も文化祭に毎年参加していますが、移動カフェの参加は今回が初の試みでした。

移動カフェでは農園で育て作ったお米「めっちゃう米」、めっちゃう米で作った「おはぎ」、農園で育てた「五郎島金時」、五郎島金時でつくった「さつまいもアイス」、NPOから仕入れたしょうがシロップで作る「おしゃれサイダー」、段ボールのピザ釜でつくる「ピザ体験」などを提供しました。

お客さんが多くお客さんとゆっくり交流することは難しかったですが、子ども達は思い思いにハロウィンの衣装に身をつつみ、声を出して元気に対応していました。

11/19【おいしいよ農園収穫祭@浅野町児童館】

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子どもと育てた「めっちゃう米」で作ったおにぎりと、五郎島金時で作った「豚汁」の軽食を提供しながら、農園の活動報告を行いました。

報告会では、夏休みにまとめた「おいしいよ農園活動報告」と「稲の観察」を基に、役員の子どもが全て担当しました。活動報告は5年生を中心に内容を考えパワーポイントでまとめ、めいめいで発表をしました。また、農園の役員すべての子どもが感想を話しました。4年生男子は写真を使って稲の観察を報告しました。

農園の活動を知ってもらおうと、収穫祭の招待状を地域の方と浅野町小学校校長と担任の先生そして保護者に出したところ、収穫祭には小学校の校長先生と担任3人、保護者、地域の方を含め、67名の参加がありました。

パワーポイントも上手にまとめてあり、しっかりと口調で意見を述べる子どもの姿に驚くとともに、子どもの力のすごさを改めて感じました。

よかったこと

  • それぞれが持っている専門性を一つ一つの活動に生かせました。
  • 子どもと協働、児童館と協働すると子どもの主体性を生かす活動ができました。
  • 子どもの生き生きした姿が移動カフェやカフェ運営で見られ、子どもの元気な姿は地域を元気にしました。
  • 子どもが主体的に取り組んだ「おいしいよ農園」移動カフェは、人とのつながりを豊かに育み、地域のつながりを育むと感じました。
  • 仲間との課題克服、移動カフェ開催に向けての準備など、子どもの主体性を大切にした活動は子ども同士の話し合いが大変ですが、子ども自身が移動カフェ開催にむけて課題解決する場面が多くあり、そのような体験が子どもたちを成長させたと実感しています。
  • 移動カフェ活動の課題や仲間同士の対立を乗り越えたからこそ、子ども達は移動カフェや販売に、より楽しく取り組むことができ、達成感を味わえたと思います。
  • 活動の雰囲気を良くもするも悪くするも子どもの言葉一つと感じる場面がありました。子どもの言葉に元気をもらい、前向きに活動に取り組めました。
  • 「おいしいよ農園」を小学校に広げる目的で子ども自身が校長先生と直接交渉するなど、活動に対する子どもの積極性が増してきたと感じました。
  • 子ども会議や活動後の振り返り、行事開催時における挨拶など、多くの場面で一人ひとりが自分の意見をはっきり言えるようになったと感じます。
  • 子ども自身が移動カフェ開催やメニューの考案を通し、一人ひとり責任を持って役割を果たす大切さ、お客さんと交流する難しさを体験できました。
  • 子ども達は、移動カフェの経験を通し、カフェを開催する場所に応じたメニューを考案する大切に気づくことができました。
  • こどもから浅野町小学校で「おいしいよ農園」を知らない人はいないと教えてもらったこと等、嬉しいことが沢山あり、多くの方と協働でき良かったと思います。

子どもたちの声

  • 1年女子:「おいしいよ農園」の看板に色を塗る作業が楽しかった。
  • 2年女子:移動カフェでおしるこ、おしゃれサイダー、おはぎなど売りました。売るのも楽しかったけど、休憩時間も楽しかったです。
  • 2年男子:色々わからないこともあったけど、皆頑張っていたから自分も頑張ろうと思って頑張った。
  • 3年女子:初めて「おいしいよ農園」に参加した時は楽しかった。途中で喧嘩する子やいじける子もいたけど、皆の力で頑張れました。
  • 3年女子:お店の人は、皆の為に楽しいこと、食べ物をたくさん出して楽しませてくれる。お客さんも楽しんでいることに気づきました。
  • 4年男子:専務になってチラシやポスターを書いたり、色々な人と交渉したり、田植えや稲刈りも一人で参加しています。これからも楽しく仕事をして行きたいです。お米や商品が売れて嬉しかったです。
  • 4年男子:僕は、この会社に初めて入りました。僕はいきなり副社長になったのでちょっと大変ですが、ちゃんと仕事もやっています。また、仕事があった時は、さぼらずにやりたいです。
  • 4年女子:私は今年初めて「おいしいよ農園」に入り不安でしたが、移動カフェを開いてちゃんと自分の仕事をできたので良かったと思いました。
  • 4年女子:今年、初めて「おいしいよ農園」に入ってみました。会計係になった時はどうすればいいのか分からない時が多かったけど、移動カフェの時は自分のやることがわかりました。それに、皆で育てたお米、さつまいもでおいしい商品を作ることができてうれしかったです。
  • 4年女子:今年、初めて「おいしいよ農園」に入って移動カフェがありました。商品を配る時におしるこやサイダーをこぼしそうで心配だったけど、最後までこぼさずに頑張ってすることができたので嬉しかったです。
  • 5年女子:今まで4年間「おいしいよ農園」の社員として頑張ってきました!楽しい部分、悲しい部分色々な場面があります。その中でも皆で協力し挑戦すると達成感があり、次につなげることができます。許可をもらう為にすごく苦労し、「おいしいよ農園」をやめようと思った時もありました。でも達成感と皆の力で頑張れました!これからも続けて頑張りたいです。移動カフェは前回よりお客さんへの対応は上手くいき、お客さんの笑顔が多くみられて良かったですが、チケット売り場とカフェの場所が離れていて少し不満に思いました。
  • 5年生女子:私は「おいしいよ農園」に入って2年間、社員として働いてきました。小学校の文化祭で商品を売ったり、イベントに参加したり、楽しい時もあったけど、皆の意見がまとまらなかったり、計画通りに進まなかったり、空気が悪くなる時もありました。最後には上手くできたので良かったです。これからも「おいしいよ農園」を続けたいです。
  • 5年生女子:私は「おいしいよ農園」を4年間やっています。最初は意見が言えずにただ座っていただけだけど、今は楽しくやっています。6年生になっても続けたいなと思います。
  • 5年生女子:私は去年から「おいしいよ農園」に参加して、最初は楽しかったけど自分の意見が言えず、思っていたことと全然違うことがあり、正直に言うと辞めたくなったこともありました。でもみんなで協力していろんな事をやっていくうちに自分の意見もはっきりと言えるようになり、今はすごく楽しくやっています。これからも続けて行きたいです。
  • 5年女子:私は「おいしいよ農園」に4年います。めんどくさいな~、いやだなな~と思うことはありますが、イベントや文化祭などでお店をすると楽しく思えます。できればずっとやり続けたいと思います。
  • 5年女子:私は「おいしいよ農園」に3年いました。もう行きたくないと思ったり、行かない日があったりしたけれど、カフェや文化際などあって楽しくすることができました。おはぎが人気だったのでもう少し多くつくれば良かった。おはぎを前半と後半に分けてだせば良かったです。

協力NPOの感想

  • 子ども達には、少し背伸びをするくらいの課題を与えながら事業を進めてきましたが、次々とハードルを越え、伸びしろの大きさを感じるようになりました。更なる成長に期待したいです。
  • 大人は、子どもに能力を発揮する場を提供するだけで良いのではないかと感じました。
  • 活動を通して、子ども達は自分の知っていることを他人に上手く伝え、困ったことがあっても協力しながら解決できる能力を養えました。また、動植物などへの関心が高まり、観察力が付いたことで、細かい違いにも気づくようになってきました。

その他協力者の感想

  • 稲づくりを通して子どもの観察力がつきました。
  • 子ども達は沢山の経験と多くの人との関わりを体験できたと思います。
  • 移動カフェの運営体験ができて良かったです。ほやね城北でカフェを開催する事で地域性が高まったと思いました。

児童館担当者の感想

  • 「おいしいよ農園」の運営は、放課後児童クラブの子どもが中心になり活動しました。会社の開催日や社員募集チラシなどを「おいしいよ農園」の役員(子ども)が作成して小学校に配布し、いつからでも地域の子どもが活動に参加できる体制を作りました。看板作りやメニュー試作会など、行事ごとのお誘いなど「おいしいよ農園」の役員(子ども)が行った結果、多くの子どもや地域の方が「おいしいよ農園」主催の行事に参加するようになりました。今年は「おいしいよ農園」移動カフェを通し、地域の方に児童館での活動を知ってもらい多くの方と交流ができました。また、地域に出て移動カフェを開催することを通して、子ども自身が浅野町の地域に目を向ける視点が育ったと感じます。
  • 4月から12月まで、毎月2回、「おいしいよ農園」の活動日、その他に地域参加型の活動(お米、五郎島金時の栽培)や収穫祭を開催しました。収穫祭では報告会と軽食を提供しました。移動カフェは4月から10月までの間に3回開催し、メニューの考案と試食会など多くの活動に取り組みました。上手く行かないことも多くありありましたが、最後までやり遂げることができたのは子どもの力とNPOと地域の方と協働があったからだと思います。
  • メニュー試作から移動カフェ、作物の観察、活動のまとめ、パワーポイントを使った収穫祭での報告会、改めて仲間と共にやり通す子どもの力のすごさを感じました。
  • 浅野町児童館の取り組み、子どもの活動力か少しずつ地域や他団体に広がっていると感じます。これまでの経験を生かし食への興味を深めつつ、子どもの力で地域のつながりをより育み、来年度の活動につなげたいと思います。