市民セクター全国会議 2021 11月26日(金)・27日(土)開催

開催報告:オープニングセッション

●日時:11月26日(1日目)17:45-19:15
●企画運営:市民セクター全国会議2021実行委員会
●登壇者

変容する社会と市民活動の広がり

オープニングでは、登壇者のお二人から、技能実習生、若年層の女性が抱える問題についてのお話をいただき、それを通して、地域の変化、人と人との繋がりの変化について問題意識を共有しました。

まず、コーディネーターの大島より、「高齢化、人口構成の変化、経済の縮小に直面している。市民活動の担い手も減少している」という指摘があり、日本NPOセンター顧問である播磨靖夫さんの「ラジカルに考え、リアルに行動する」「ラジカルなものは周縁部にある」という言葉を引用しながら、「各地域の活動から市民セクターを捉え直したい」と趣旨の説明がなされました。

望月さんからは、孤立出産に追い込まれてしまった技能実習生の事例が紹介されました。このできごとの背景には、周囲の人々を信頼できず、誰にも妊娠を打ち明けられなかった、日本の法律は技能実習生の妊娠を想定できていなかった等、様々な要因が重なっていると指摘しました。日本で働く技能実習生が増加傾向にある今、彼らが抱える問題に寄り添い、共生できる社会を実現していくために、その仕組みを今一度考える必要があると望月さんは主張しています。

次に、村木さんからは、虐待、性被害、貧困等の問題を抱える若年層の女性を支える若草プロジェクトのお話を通して、困ったときに安心して繋がることができる支援の重要性を語っていただきました。LINE相談では、特に最近は新型コロナウイルスの影響により、経済的・精神的な問題を抱えているという相談が増加しているそうです。今後も、若年層の女性たちがためらわずに相談できる手段を考えていくとのコメントをいただきました。

「技能実習生や若い女性たちのような、困っている人々をサポートできる制度が上手く機能していない。それを改善するにはどうすればよいのか?」という大島の質問に対して、お二人からは「平時から誰かと繋がっていられるラインの確保や仕組み作りが重要」と回答いただきました。望月さんは「制度はあるのにうまく機能していない。また継続的な市民活動を可能にするお金の流れを社会的にどう担保するのかを考える必要がある」としました。そして村木さんからは、「人との接点の作り方に一工夫を加える、これを意識することが大事」とご回答いただきました。

このオープニングを通して、人々にとって繋がりがいかに重要なものなのかがみえてきました。目まぐるしく変化するこの社会で、その繋がりをどのように作っていくのか、そしてどのように深めていくのか。それを一人一人が考えていくことこそ、市民活動への大きな一歩と言えるのではないでしょうか。

(報告:上甲結奈さん)